悪魔の契約書

@k0905f0905

第1話

瀬戸哀歌は高校一年生。

歌手を夢見ていた。

「16番」

オーディション会場に

プロデューサー間島俊次の声が

響き渡った。

会場は異様な緊張感に満ち溢れていた。

何せこのオーディションに合格すれば、

スターへの道が確約されたほど権威のある

オーディションだった。

16番は哀歌の受験番号だった。

哀歌が受験会場に入った。

「16番、瀬戸哀歌。(ビリーブユー)を歌います」

哀歌が歌い始めた。

(あなただけを信じています。

何があっても。たとえ世界中を敵に回しても。

ねぇ、覚えているかしら。二人並んで見た

花火大会。

あなたの肩にちょこんと頭を乗せて、

わたし、本当に幸せだった。

一体、あのときの幸せはどこに行ったのかしら?

あなたがいなくなった今は何もかもが哀しみ色に

染まっているのよ)

「ハイ、どうもありがとう」

間島がパンと手を一回叩いた。

「どうもありがとうございました」

哀歌も礼を言った。

「自分で作ったの? うまいもんだねぇ」

心の底から言っているのかどうかは疑問だったが

哀歌も悪い気はしなかった。

「歌も及第点だ。いいね」

間島が腕組みして笑顔を見せた。

「合格した場合は追って連絡します。もういいよ」

「ありがとうございました」

哀歌は期待を持ってオーディション会場を出た。

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