30の願い
御野影 未来
プロローグ
彼女はどんなに失敗をしてもその時の反省点を考えて、次に向け行動を起こし先に進む強い人。誰に対しても優しく接していて、自分の意思も強く悩みは自分で解決をすることのできるすごい人。
だと思っていた。
彼女が弱音を吐いているところは一度も見たことがない。普段はクールだけど、話してみると明るく、楽しくて居心地がいい。いろんな人に頼りにされていて人望もある。
それを見て僕は自分の未来を思い描いた。
「すごいな、僕もあんな風になれたらいいな」なんて考えるが実際に行動するのは難しい。いつのまにか彼女を目で追うようになり、尊敬の意味もあったが僕は彼女にだんだんと惹かれていた。
今思うと、いろいろと考えることがある。彼女にだって人に聞いてもらいたい悩みが一つや二つあるはずだ。彼女は誰かに相談をすることはあったのだろうか。
僕を含めた周りの人の頼りになる人という考え方が彼女を苦しめているのではないのか。
弱音を聞いてあげる環境を僕たちがつぶし、彼女に頼りになる人を演じさせているのではないのか。
人の感情は周りの環境によって大きく左右される。この世界に僕と全く同じ考えの人は何人いるのか。
僕は本当の彼女を知らないままに恋をした。
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