51. 新古今和PROG集【プログレ】新●月/taika/秋葉龍ほか
1970年代当初から多くの名盤/名バンドを生み出している日本のプログレシーンには、語るべき数多くのバンドが存在します。
ですが、小難しいことはさておき、筆者が特にお気に入りの音楽を取り上げるという当エッセイの趣旨に基づいて、今回も6組のバンド/アーティストを厳選しました。
テーマは「新古今和PROG集」。世界に誇れるジャパニーズ・プログレの猛者たちを、時代に沿ってお送りいたします。
今回紹介するバンドと、その公式音源をまとめたプレイリストです。
★新古今和PROG集【プログレ】
https://www.youtube.com/watch?v=TLV9HDmlyeM&list=PL_guDDmuRSVViyogE3jFH3O5JGT2MiyXy
ゴダイゴ(GODIEGO)
新●月 ※
VIENNA
PROVIDENCE
taika
秋葉龍
※公式音源がアップされていない新●月の代わりに、北山真 with 真○日「別のなにか」を収録しています。
◆ゴダイゴ(GODIEGO)
タケカワユキヒデ(Vo.)の卓越した作曲センスと、ミッキー吉野(Key.)の比類なきアレンジ能力の相乗効果は日本音楽史が生んだ奇跡。極上のメロディ、卓越した演奏技術、精緻な音作りの三拍子揃った、和プログレ入門に最適のバンドです。
◇まずはこの一枚
『西遊記』(1978)
https://open.spotify.com/intl-ja/album/2IEUAK66B6cC51qlAtSzKz?si=T7-jEEJTQOqPKPHdu03i-g
名作TVドラマのサントラであると同時に、驚異の完成度を誇るコンセプトアルバム。「モンキー・マジック」「ガンダーラ」を筆頭にキャッチーな楽曲が満載。構成も文句なしの超おすすめ盤です。
◆新●月
和製GENESISと例えられる緻密な音楽性、特に津田治彦のGt.はSteve Hackettを強く彷彿させます。一方で北山真の歌唱も、深い感傷に満ちた独自の空気感を醸し出しています。昭和日本のプログレとは? に対する模範解答です。
◇まずはこの一枚
『新●月』(1979)
唯一盤。構築力で魅せる「鬼」「科学の夜」、叙情性を前面に出した「朝の向う側」「白唇」「せめて今宵は」など、幽玄で豊かな世界観の詰まった珠玉の一枚です。名盤にもかかわらず、入手困難なのが悔やまれます。
解散後のメンバーはASTURIASなどに参加。Vo.の北山真も「北山真 with 新●月プロジェクト」名義で『光るさざなみ』(1998)を発表するなど、断続的に活動しています。
ストリーミング配信されている範囲では、「北山真 with 真○日」名義の下記アルバムが参考になるかもしれません。
◇さらにもう一枚
『冷凍睡眠』(2015)
https://open.spotify.com/intl-ja/album/2SvKkpsRHf0eLe4FE9tN86?si=aDOozacnT-SP6644KJtUlA
新●月にも増してシアトリカルな表現性は伊ロックを思わせます。中間部でGt./Fl./Pf.が折り重なるように絡み合う「別のなにか」は秀逸。「手段」は後に花本彰(Key.)と組んだ『静かの海』(2019)でも演奏されています。
◆VIENNA
GERARDやOUTER LIMITS、NOVELAなど、日本プログレ界一線級のメンバーが集結したスーパーグループ。プログレメタル前夜のテクニカルでハードエッジな作風からは、現代のリスナーにも訴求する熱量が放たれています。
◇まずはこの一枚
『Step Into...』(1988)
https://open.spotify.com/intl-ja/album/0ByQ0i61f4ZiIU2ehTTrzq?si=No3Bz-NDRruQwUgA7K0rGw
前作から1年足らずでの2nd。高らかなヴォーカル、切れ味鋭いギターワーク、綺羅びやかな鍵盤、うねるベースサウンド、攻撃的なドラム……隙のない布陣に圧倒。良質なメロディ、ひねりを加えた展開にも引き込まれます。
◆PROVIDENCE
北海道出身。人脈がメタル界とクロスオーバーする和製プログレらしく、パワフルな女性Vo.を軸に、リーダー塚田円(Key.)はじめ技巧派の楽器隊が周囲を華々しく彩る豪奢なアレンジ。メロディ性は強く、間口も広めです。
◇まずはこの一枚
『伝説を語りて』(1990)
https://open.spotify.com/intl-ja/album/1dLYZuuhq002Jzyq1GRBI8?si=ezlFjIRYTQKBcTybp48Q3Q
90年代らしいテクニックを前面に押し出したプログレながら、時折RENAISSANCEやETHOSなどの伝統的な風合いも感じさせます。メンバー交替した2nd『蝶湖夢楼の一夜』(1996)は、曲展開もよりドラマチックになった印象です。
◆taika
幻想的な世界観とアコースティックなサウンドが魅力。アコーディオン奏者も兼ねる凛とした女性Vo.を中心にPf.Ba.Dr.の陣容はいずれも巧者揃いです。しっとりとした耳触りながら、変拍子多用の曲作りはしっかりプログレしています。
◇まずはこの一枚
『annulus』(2022)
https://open.spotify.com/intl-ja/album/0UPzApyPi9XcVEMLhDdiCu?si=uSXnJLXdRtSTU2Q3GP2Jpw
癒しの空気感が売りのバンドですが、緊張感溢れる楽曲にも注目です。ギターレスだけにアンサンブルにおけるベースの比重は大きく、この5th収録「Stand Alone」ほか多数の曲でアグレッシヴなソロを聴くことができます。
◆秋葉龍
新進気鋭のマルチプレイヤー。Vo./Gt./Key.は勿論、Vln.やFl.までを盛り込んだ贅沢な作りが特徴。GENTLE GIANT、CARAVAN、KESTRELを始めとした無数の先達たちからの影響を一切引き算せず全載せする狂気は圧巻です。
◇まずはこの一枚
『Cities In People』(2023)
https://open.spotify.com/intl-ja/album/4h6w9jxRRGbbUqBfjNdpII?si=wGuCyCqWQSW6bCquIJHzvQ
2nd。伝統的英国プログレの旨味を凝縮した濃厚な味わいはカンタベリーの香り。Richard Sinclair風ヴォーカルも耳に心地良いです。23分の大曲「Home Alive」で披露される複雑怪奇なリズム&コーラスワークには脱帽します。
他にもこれまでに紹介した、曇ヶ原、GAMA、バスクのスポーツ……などなど、実力派の新世代もそれぞれに個性的です。
また、第25回のTHE ALFEE特集も参考になるでしょう。
★25. THE ALFEEはプログレ【プログレ】(THE ALFEE特集:後編)
https://kakuyomu.jp/works/16817330650571948914/episodes/16817330655704076855
とても語り尽くせないほど充実した日本のプログレ界ですが、本稿をきっかけにその一端だけでも覗いていただければ何よりです。
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