45. 叙情派プログレ6選【プログレ】LOCANDA DELLE FATE/KAIPA/PAVLOV'S DOGほか

今回のテーマは叙情派プログレ――シンフォニック・ロックやフォーク、或いはジャズロックの中でも、特に情緒性に富んだ作風にスポットを当ててみました。


方向性もはっきりしているので、奇をてらうことはしておりません。古典に名を連ねる定番の6組を、それぞれ別々の国・地方からピックアップしています。



今回紹介するバンドと、その公式音源をまとめたプレイリストです。


★叙情派プログレ6選【プログレ】

https://www.youtube.com/watch?v=NDG-aV67vhw&list=PL_guDDmuRSVXlhQska-sEm0NE1dW6bP-f


PAVLOV'S DOG

SEBASTIAN HARDIE

BARCLAY JAMES HARVEST


LOCANDA DELLE FATE※

KAIPA

ITOIZ



※LOCANDA DELLE FATEのみ「Forse Le Lucciole Non Si Amano Più」「La Giostra」の2曲を収録。




◆PAVLOV'S DOG


北米産。ギターを筆頭に確かな技巧と表現力。ヴァイオリンやメロトロンをフィーチャーした楽曲が情緒を激しく揺さぶります。Geddy Lee(RUSH)を数倍癖強くしたようなDavid Surkamp(Vo.)の歌声が初心者には難関かも。


◇まずはこの一枚

『Pampered Menial』(1975)

https://open.spotify.com/intl-ja/album/3jUD1HDM2akjSJXhmxo5fh?si=rTN2BHWaQN2NqJTCKmyiwA


「Julia」の強烈な叙情性で開幕ノックアウト必至。しっとりバラードから熱いハードロックナンバーまで高品質なメロディ満載の名盤1stです。




◆SEBASTIAN HARDIE


Mario Millo(Vo./Gt.)率いる豪州代表。優しい歌声と情熱的なギター、各種鍵盤が絡み合うアンサンブルは、広大な大地と満天の星空を幻視させる魔法のようなひとときを与えてくれます。聴き終えた後には清涼感ある余韻すら漂います。


◇まずはこの一枚

『Four Moments』(1975)

https://open.spotify.com/intl-ja/album/18pVMj6TfxkBO9xMmqJx1J?si=g633xuxyRqWIQ8co56xLYA


1st。4部構成の組曲「Four Moments」、官能的なギターインスト「Rosanna」、とどめに大曲「Opennings」と隙のない構成に感服です。


なお、後継バンドのWINDCHASE(SEBASTIAN HARDIEの2nd『Windchase』に由来)も過去に紹介しています。


13. 隠れた秀作プログレ6選【プログレ】

https://kakuyomu.jp/works/16817330650571948914/episodes/16817330651973822503




◆BARCLAY JAMES HARVEST


英国代表。3rd収録「After The Day」が秀逸ながら、5thを境に情緒性が一段と増したように感じます。名バラード「Berlin」収録の9th『XII』まで、いい意味でプログレっぽくない素朴さは一般リスナーにもおすすめしやすい作風です。


◇まずはこの一枚

『Time Honoured Ghost』(1975)

https://open.spotify.com/intl-ja/album/7DrCn14qT36sXBLygQX8ux?si=UvCvpH1rS2uGmRkfy-G3Cg


6th。3人のソングライターによる楽曲群は時に優しく、時にドラマチックに響きます。THE BEATLESの曲名で構成された「Titles」の歌詞にも注目。




◆LOCANDA DELLE FATE


イタリアより。寂寥を帯びた繊細な演奏と、野性的な歌声との絶妙なコントラストが、胸を締め付けるような切なさをこれでもかと煽ります。デビュー時点で完成されていた音楽性は、解散後20年余りを経ての復活後も色褪せてはいません。


◇まずはこの一枚

『Forse Le Lucciole Non Si Amano Più』(1977)

https://open.spotify.com/intl-ja/album/5W1kloCKd5nnjT3McyOTZx?si=G5uIlLhZQ-K_AfX9A-osKw


蛍の光が示唆するものは、在りし日の儚さと避けようのない別れでしょうか。歌詞を理解できずとも自然に涙が頬を伝います。語彙力喪失の神盤。


◇さらにもう一枚

『The Missing Fireflies...』(2012)

https://open.spotify.com/intl-ja/album/06o83PLR8iNqA0unIuOImZ?si=xe3ex3pQT5inoYvNzJ40cQ


未発表4曲とライヴ3曲のコンピ盤。バンドの強みが色濃く出た「La Giostra」はひょっとすると既発曲を凌駕する名曲かもしれません。




◆KAIPA


現THE FLOWER KINGSのRoine Stolt(Gt)を輩出したことでも知られるスウェディッシュ・シンフォの代表格。郷愁を誘うメロディと劇的な展開はこれぞ北欧と言わんばかり。現在もHans Lundin(Vo/Key)を中心に活動継続中です。


◇まずはこの一枚

『Kaipa』(1975)

https://open.spotify.com/intl-ja/album/14kr4VwmaiVRlX2LBe4dhM?si=JC7ioYg6R7O6_Hu5BqKHHw


デビュー盤。当時十代のRoineのギタープレイはすでに傑物の片鱗を覗かせる素晴らしさ。Hansの哀愁を帯びたハスキーな歌声もハートに沁み渡ります。続く2nd『Inget Nytt Under Solen』(1976)と共に不朽の名盤です。




◆ITOIZ


スペイン・バスク地方出身。歌詞も勿論バスク語。フォーキーな1stから3rdまでは盤を重ねるごとに情感とジャジーさが相まった独自の味わいを増していきます。技巧性に埋もれず主張する、民族的な素朴さが何よりの魅力です。


◇まずはこの一枚

『Ezekiel』(1980)

https://open.spotify.com/intl-ja/album/6E5r2Uwd7LfjFOQMBC2apX?si=G9ysAxK7SnuddSTs-k7cOQ


名盤2nd。旧約聖書のエゼキエル書がモチーフのコンセプト作ですが、堅苦しさは皆無。ギターがフルートがサックスが情緒豊かに物語を彩ります。




「叙情派プログレ6選」、以上となります。


さて、来月のテーマは順番的にメタル系なのですが……何と、ネタ切れです!


厳密に言うとアイデアは沢山あるのですが、どれも小粒すぎてテーマが組みづらいものばかりなのです。今までのように「~6選」とか「~10選」などでまとめられそうにありません。


逆にプログレの方は潤沢なのが、バランスの悪さに拍車をかけています。いっそのことジャンル横断でテーマを組むべきかとも考え中です。


いずれにしても、これまでのような形態は今年限りになるかと思います。このエッセイ自体は勿論続きますので、今後もどうかお付き合いよろしくお願いいたします。

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