マッケンジー音楽室〈メタル＆プログレ〉

43. 注目の新作：9月号【プログレ編】I AM THE MANIC WHALE／SOUTHERN EMPIRE／MONDO DRAGほか

先月以前に発売のアルバムもまとめてお送りします。まずは'22に自主制作→一般流通となったこの作品から。

◆GLEB KOLYADIN『The Outland』

https://open.spotify.com/intl-ja/album/7u5Lo9bRL7DLNIfSgmrrev?si=dgu2Z23ORFqQG9Gqbo4vIQ

露デュオiamthemorning鍵盤奏者ソロ作。Gavin Harrison(Dr)やTony Levin(Ba)を迎えての3rdは一般にも訴求するイージーリスニングなチェンバーロック。軽快で流麗なピアノ、情感豊かな木管楽器が描き出す心象風景にうっとりです。

◆TRITOP『Rise Of Kassandra』

https://open.spotify.com/intl-ja/album/3EvMypo7bcQjSr5uUnSV9y?si=EaVwcACfROWdH9u2ippq8g

2月発の伊産1st。例えるなら、70年代からタイムスリップして来たバンドが見様見真似でモダンなプログレメタルを演奏しようと悪戦苦闘しているような（実態は逆）不思議な感触です。4曲目、ぶっちゃけオクタヴァ……（言っちゃダメ）。

◆A.C.T『Live at Kulturbolaget 2019』

https://open.spotify.com/intl-ja/album/7wA2UeVlTDQxHllpfOufiH?si=ft0_0oLFTHqzfA-dMzbXYw

ライヴ盤ですがスルーできず紹介。EPボートラなどで先行公開の音源も一部あり。演奏の安定感は勿論、楽曲が軒並み高品質ゆえ何を演ってもベストなのが強すぎます。個人的には「Wailings From A Building」を推しますが。

◆THE FLOWER KINGS『Look At You Now』

https://open.spotify.com/intl-ja/album/1tS0lzdt0yGUaYEkVFIYQD?si=wOrZRPI2TwGTfYjCGg4Vig

Roine Stolt(Gt./Vo.)率いる北欧シーンの重鎮。今作は3～5分の曲を中心とした聴きやすさ。ジャケットの印象に反して『The Sum Of No Evil』や『Banks Of Eden』のような明るめの作風に回帰しています。

◆SOUTHERN EMPIRE『Another World』

https://open.spotify.com/intl-ja/album/68dqZUfgcWBF5btOoU1Z1t?si=iz7bzasuSIqpIJKcGXcaqA

豪産3rd。RUSHにBilly Sherwoodを放り込んだような冒頭曲のきらびやかさに度肝。プログレメタルの技巧とフュージョン風アレンジを取り入れた今作は、特にリズムセクションの存在感が際立ちます。確実に一皮剥けました。

◆THE CHRONICLES OF FATHER ROBIN『The Songs & Tales Of Airoea - Book I』

https://open.spotify.com/intl-ja/album/2qwU0I0PAWHXh0J3sTPUky?si=xu0x_Mn0Rpi2qh0AjOh4Sg

WOBBLER、TUSMØRKE、JORDSJØなど、ノルウェーのプログレ人脈が集結した三部作の第一部。メンバーから想像できるようなヴィンテージサウンドで、民族色の入ったダークなシンフォニックロックが奏でられます。

◆MONDO DRAG『Through The Hourglass』

https://open.spotify.com/intl-ja/album/1MA5O4SNY3jsKU2ywo8XR1?si=ayElLOcFSnawKWnoA4vaEQ

USバンド7年半ぶりの5thは前作までのヘヴィサイケから叙情派路線に急転換。CRIMSON「Epitaph」「Starless」或いは後期FLOYDか。演歌っぽいのはプログレあるある。イントロだけでハート鷲掴みの表題曲には感服します。

最後に、こちらも8月リリースの作品なのですが、今のところストリーミングにもデジタルストアにもなく（Bandcampでは視聴可）フィジカルで入手するしかないようです。

◆I AM THE MANIC WHALE『Bumper Book Of Mystery Stories』

UKシンフォ4th。SPOCK'S BEARDやBIG BIG TRAINの薫陶を受けた素直なサウンドはそのままに、作曲・アレンジ・演奏全てがパワーアップ。何より、卓越したメロディセンスは現世代トップクラスではないでしょうか。

以下、参考までに収録曲のMVです。

★Ghost Train Part 1 - Official Video

https://www.youtube.com/watch?v=R8Z2Kz2ACrs

★Ernő's Magic Cube - Official Video

https://www.youtube.com/watch?v=1ktREd3mJH0

ちなみに中心人物のMichael Whiteman(Vo./Ba.)は昨年リリースのRYO OKUMOTO『The Myth Of The Mostrophus』に共同制作者として全面的に参加しています。大変素晴らしい出来のアルバムでした。

9. アルバム・オブ・ザ・イヤー2022【プログレ編】

https://kakuyomu.jp/works/16817330650571948914/episodes/16817330651084638490