マッケンジー音楽室【メタル＆プログレ】

26. カナディアン・メタル6選【メタル】UNLEASH THE ARCHERS／FIRST FRAGMENT／PROTEST THE HEROほか

年始めの『スパニッシュ・メタル』以来の国別特集、第2弾といったところでしょうか。今回は「カネイディアン」メタルです。

件のスペインほど音楽的に明快な地域性は見られないものの （ケベック州除く）、カナダにも良質で個性豊かなメタルバンドが数多くいます。

そんなバラエティに富んだ音楽性を満遍なくお届けしたく、本テーマは3段に分けて2組ずつご紹介して参ります。勿論これまでと同様忖度は一切なし。100％筆者の好みに従ったセレクションです。

★カナディアン・メタル6選【メタル】

UNLEASH THE ARCHERS

MANDROID ECHOSTAR

FIRST FRAGMENT

THE AGONIST

PROTEST THE HERO

PYRAMID THEOREM

最初の2組は王道のメロディック系から。注目のメタル・クイーンBrittney Slayes率いるこのバンドが一発目です。

◆UNLEASH THE ARCHERS

驚異の音域を誇る女性Vo.が勇ましくも美しいモダンなパワーメタル。ツインGt.、ツインVo.＋デスVo.の幅広い表現に加え、攻撃性・技巧性・叙情性が程良く並立された作曲センスもお見事。初心者から古参メタラーまでどんと来なはれ！

◇まずはこの一枚

『Abyss』(2020)

前作から世界観を継承しつつ、音楽的には一つ壁を突き抜けた感のある快作。会心の疾走曲「Faster Than Light」で後半もダレさせない業前も素晴らしく。

◆MANDROID ECHOSTAR

トリプルGt.編成の6人組。Vo.はかなりエモ風。Synyster Gates(A7X)ばりの扇情的なリードは単独でも魅力ですが、さらにハモりで何倍もの威力に。そこそこ長い活動歴の割にEP1枚、アルバム2枚と寡作ながらいずれも高品質です。

◇まずはこの一枚

『Rosalia』(2022)※Single

IRON MAIDENを彷彿とさせる目下の最新曲はデビュー10年にして若さ溢れるアッパーチューン。コーラスの掛け声もシンガロングを誘うアツさです。

お次はエクストリーム編。今まで当エッセイでも何度か名前の出た超絶技巧バンドが満を持しての登場です。

◆FIRST FRAGMENT

ケベック出身テクデス。ブルータルとリリカルの二面性が生み出すプログレとしての側面も。意外にメロディセンスも豊かでGt.は時にネオクラ風。緻密な構築美と常軌を逸したバカテクの融合は、最早バロック音楽の究極進化形では？

◇まずはこの一枚

『Gloire Éternelle』(2021)

無二の音楽性を進化＆深化させた2nd。冒頭からアピールポイント詰め合わせの表題曲にヤられますが、聴き進めるうちにそれすらも序の口と思い知ります。

◆THE AGONIST

クリーンとデス声を織り交ぜた女性Vo.が特徴のメタルコア～メロデス。初代Vo.は現ARCH ENEMYのAlissa White-Gluz、デビュー当初から非凡な才の片鱗が窺えます。Vo.交替に伴い音楽性はより多様さを増し、一皮剥けた印象に。

◇まずはこの一枚

『Lullabies For The Dormant Mind』(2009)

技術的には発展途上ながら素直にメタルしており好感度の高い2nd。Alissaの美声が映えるTr.8→凶悪デスボ炸裂Tr.9の落差で毎回笑う。次作も良盤。

最後はプログレッシヴ系の2組にトリを飾ってもらいましょう。まずは筆者のオールタイム・フェイバリットに名を連ねるこちらのバンドからです。

◆PROTEST THE HERO

マスロック的Gt.が縦横無尽に駆け巡る中、エモ／スクリーモスタイルのVo.が歌い上げる超絶テクニカルなポストハードコア・メタル。極めきったスキルが揺るぎない個性となる好例です。心地良く打ちのめされようではありませんか。

◇まずはこの一枚

『Volition』(2013)

美メロとメタル味が高レベルで共存する「Mist」を筆頭にオールキラーチューンの名盤。これと『Palimpsest』(2020)は手放しでオススメできます。

◆PYRAMID THEOREM

身も蓋もない例えですがRUSH／DREAM THEATER型のプログレメタルです。基本的にはメロディ重視の曲作り。アレンジに関しては音を詰め込むべき所と空けるべき所を心得た展開の駆け引きが売りかもしれません。なかなか手堅いです。

◇まずはこの一枚

『Beyond The Exosphere』(2020)

18分に迫る表題曲をド頭に飾る姿勢に自信の程。やたら手数の多いDr.が終始ウルサい(笑)ですが不快ではないです。Key.はDerek Shrinianっぽいかも。

これにてカナディアン・メタル特集、閉幕となります。

ここまで来て「カナダ産なのにあのバンドの名前がないよ!?」とお嘆きの読者様、すでに当エッセイで紹介済みかもしれません。

◆ARCHSPIRE

2. 近年のお気に入り6選【メタル編】（前半）

https://kakuyomu.jp/works/16817330650571948914/episodes/16817330650572649694

◆AETERNAM

21. プログレッシヴ・デスメタル6選【メタル】

https://kakuyomu.jp/works/16817330650571948914/episodes/16817330654492572929

今後もこういった国／地域別の特集は組む機会があるかと思います。その時までご贔屓いただけるよう頑張りますので、何卒よろしくお願いします。

さて次回更新は、毎月恒例となってしまったアレが来る模様です。お楽しみに。

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公式動画をプレイリストにまとめました。

★カナディアン・メタル6選【メタル】

https://www.youtube.com/watch?v=8JpOcvvnX_s&list=PL_guDDmuRSVXtGz0jOKTbjrVSkr8xogDG

PROTEST THE HERO「Mist」曲の開始は2分ぐらいから。

以下はSpotifyのアルバムリンクです。

◆UNLEASH THE ARCHERS『Abyss』(2020)

https://open.spotify.com/album/35Tw2Ofk21iMTXTSW3i8sD?si=ba348f9ff878471c

◆MANDROID ECHOSTAR『Rosalia』(2022)※Single

https://open.spotify.com/album/0JXHfSNx5NIhpzUpvyVdde?si=PEJ6xNdeQu218HHFxFz35g

◆FIRST FRAGMENT『Gloire Éternelle』(2021)

https://open.spotify.com/album/54o3LIwRQwPESEkG2cfTnr?si=b1e958c2858a4627

◆THE AGONIST『Lullabies For The Dormant Mind』(2009)

https://open.spotify.com/album/4wkPLVKMtyHnzaZGRK1JiE?si=F9HY2ba3Tv-VV-K6ag3xBw

◆PROTEST THE HERO『Volition』(2013)

https://open.spotify.com/album/03tMCsQtVPl4YmI6zeMbO7?si=BnYWCuRnR1icJlJ2yUm0SA

◆PYRAMID THEOREM『Beyond The Exosphere』(2020)

https://open.spotify.com/album/0XaFosYqnsm2vHczqXi0X4?si=88f4dde7b5cc4301