2話 小夜曲

――――来たっ……

鼓膜には、潮騒の代わりに鐘の音が響いた。


脳裏に浮かぶのは、波にあずけたボトルメッセージを拾う君の細い指先。

そして、

寄せる波に濡れた紺青プルシアンブルーのハイヒール。


ねぇ君。君は何がほしい?

そう尋ねたのはさ……


蒼空そら碧海うみ

視える景色は違っても、そこには確かに繋がる言葉がある。瞼を閉じたぼくは、それに応えるように文字を並べた。



君と過ごした時間。


これから過ごすであろう時間を。




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