自分RSTART裏

ほるす〜ん

道理にかなっていない

私は道理にかなっていないことが大嫌いだ。人間は道理に生きるべきなのだ。

そしたらそんな人が死ぬこともない。

私、神崎ゆきこはそんな事を思った。

私はなにもわるくない。

私は今刑務所にいるのだ。


「だからね。あんたが人を殺したのは間違いないんだよ。」

「殺してません。」

「お前が殺したんだっつーの!」

「身に覚えがありません。」

「まあまあ、彼女二重人格って言うじゃないですか。しかたないですよ。」

無理を通せば道理がひっこむ。よく言ったものだ。

「私やっていません。」

「やったんだ!!!」

「やってません!!」

まあまあ先輩と部下の警察官が上司の警察官をなだめる。

「私…やってません。」

私の瞳からは涙が。

「嘘泣きはやめろ。」

「先輩!」

部下は止めに入った。

ざまあみろ。

「先輩。今日の取り調べはこれくらいにしときましょうよ」

「うるさい!黙ってろ!」

もうひといき。

「小柳さん。私ほんとうにやってないんです。」

「部下に付け入るとは貴様卑怯な。」

「先輩〜。もうやめましょうよ。」

「さんせ〜い。!」

「貴様ら〜。」

え〜。まだかよ。

「先輩。もういいじゃないですか。」

「貴様〜。わかっているのか。この娘は我殺人事件での超重要参考人だぞ!!現場にいたんだ!!」

「みゆびちゃんもう帰っていいからね。」

後輩の警官さんは私を宥めた。

「いかん。まだ帰ってはいかん。追い出すな。」

先輩もういいでしょ、とそそくさと後輩警察官は私をそそくさと部屋から連れ出した。

証拠がなければ捕まえられない。

これが法治国家の限界だ。

私を捕まえられないんだ。わはははは。

私は心の中で高笑いし、署を出た。

小柳さんは申し訳なさそうにしていた。

ごめんね。小柳さん。


私はなにごともなかったかのように署をでた。


今から学校いくのだるいな。


私は学校をサボった。





近場のゲーセンだ。

この時期になると学生とかで溢れかえっているな。私も学生だけど。

私はお気に入りの音声合成ソフトの声を聞きながら、ゲームに夢中になった。

この曲だれも知らないのだ。

私は寂しくなった。

私はしっているよ。

どこからともなく声が聞こえてきた。

ああ、そうだったな。

私は寂しくそう言った。

すべて失って、一緒に笑おうか、

なんていい歌詞なんだ。


このかんじがいいんだよ、このかんじが。ゲーセンにだれもいない。

どうせ外は火の海だ。

ゾンビシューティングゲームで人様のことを考えない馬鹿と。

音ゲーで幼稚園児みたいに熱中しているヤツもいる。

ここは馬鹿ばっかりだ。

私はリアルファイトできない格ゲーオタク馬鹿と言ったところか。

誰かが私の前に座った。

私に喧嘩売ろうなんていい度胸じゃん。

私は挑戦を引き受けた。

レディ…ファイト!

なかなかやるな!

だが私の足もとにもおよばない。

瞬殺だった。

「やっぱりつよいなゆきこは。」

出てきたのは学校の先生だった。

そう私をかばってくれた先生。

「やあ、ゆきこ。」

「あら、先生」

「なんだゆきこ。元気ないな。」

「先生と出会ったから。」

「ひどいこと言うな」

………先生と出会ってしまった。

これはやべーな。

補導される。

「ゆきこ。俺は怒っていないんだ。ただものはたのみようだと思うんだよな。」

「………」

「わかったよ。この事は教頭にも言っておく。」

「先生!大〜好き!」

「ほぅ!」

「大好きだから待って、行かないで」

「う〜ん、どうしようかな。」

「せんせぇ〜、まってよ〜」

「何だ。」

「デートしてあげるわよ、せんせい。」

「しかたないな。黙っておいてやろう。」

「やった〜、せんせい大好き!」

「ついでにあの事も黙っておいてやろう。」

「…先生に私のつらさなんてわかんないよね…」

「うん。」

「あはは。」

私は心の中が煮えくり返りそうだった。


私は自分の中の自分を守るために先生とデートする事にした。

自分を守るために、自分を犠牲にしたのだ。

笑えない。ちょー笑えない。

超笑えない



「ゆきこちゃんとデートできるなんて夢のようだよ」

恋愛中毒は死ねとしか思わんがな。 

まあ、私はしないからいいけど。

「なあ。ゆきこ。このあと焼肉屋にいかないか。」

おおっ!!

「いく。」

「やったぁ!!じゃあいこう。」

「ああ、いこう。」

よし、このまま撒いてやろう。


「先生、私お手洗いに行ってくるね。」

私は勢いよく席を立ち、お手洗いに向かった、とそのまま会計前まで進んだ。

「お客さま、お連れの方の支払いでよろしいですか?」

「ああ、いいよ、ごちそうさま〜

私はそのまま店を出た。

外の風が気持ちいい。

このままゲーセンに行こっか。生徒との異性交遊がバレたらあの教師もただではすまんでしょ。

「ああ、外の風が気持ちいいな〜」

「あれ〜?みゆびじゃん。」

「あっ!ともえ。」

「どっしたのこんな所でおっさんでも捕まえてたのか?」

「そんなんじゃないよ〜。」

「じゃあなんだよ。カツアゲか〜?」

「だからそんなんじゃないって。」

「じゃあさ。仲間の所に行こうぜ。高い酒が手に入ったんだってよ。」

「私はいいよ。」

「え?」

「私はもうそういうのやらないからさ。」

「そっか。また誘うわ」

「ちわ〜。また誘って〜。」


私はゲーセンにもどった。


ゲーセンにいくと音ゲーマーがいた。女の子だ。私は目を奪われた。

その子はとてつもなくうまかったからである。

男の子よりも。


「ねえ。めっちゃうまいね。音ゲー。」

「え?あ。はい。ありがとうございます。」

「うん?どっかで見たことがあるな………誰だっけ?」

「はい。神崎みゆびさんですよね。」

「うん。そう。君は?」

「私は富岡深月と申します。」

「あれ?どっかで聞いたことが」

彼女はマスクをしていて顔がわからない。

「ごめん。顔を見たらわかるんだけど嫌だったら無理に取らなくていいからね。」

彼女は一瞬固まったがすぐにマスクをとってくれた。

あ〜知ってる。地味子だ。


「よ〜。地味子じゃね〜か。音ゲーこんなうまかったんだね」

「はい。」

「敬語やめてよ。私達同い年なんだからさ。」

「うん。」

「あと私の事もみゆでいいからさ」

「…うん。」

「地味子の事…美月って呼んでいい?」

「………いいよ!」

地味子は嬉しそうに照れくさそうに私に微笑んだ。

私も嬉しくて微笑んだ。

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