第4話 課題
陽葵は余裕をもって3時半に部屋を出たが大事なことを忘れていた。陽葵には図書館がどこにあるのかがわかっていなかったのだ。陽葵が図書館にどうやって行くのか迷っていると刻々と時間が迫ってくる。陽葵は勇気を出して通りかかった人に聞いてみることにした。
「図書館ってどうやって行くんですか?」
「図書館?図書館はこの建物じゃなくて隣のにあるよ」
「ありがとうございます」
陽葵は遅れないように全力で向かう。
図書館につくと2人は本を読みながら待っていた。
「ごめん。2人とも若干遅れた」
「ちゃんと時間を考えて出発したのか?」
「いや出発はしたんだけど、図書館がどこにあるのかわかんなくて」
網野はあきれている様子。
「これだから、馬鹿は」
「まあまあそういうこともあるって。もう資料はそろえてあるからここからまとめよう」
「さすが。やっぱ頭のいい2人は違うね」
「そんなことより森下がここにいるのはなんでなんだ?」
「だって人が多いほうがすぐに終わりそうじゃん」
「俺は静かな環境でやりたい」
「せっかくだから協力して終わらせようよ」
森下は苦笑しながら網野を見ていたが網野となんだかんだ仲良くしながら課題を進めていく。
陽葵も満足な出来のものができたのでうきうきとしながら2人と帰り、早めに寝た。
「陽葵、遅れるよ」
「うん?今何時?」
陽葵は眠そうに凜に時間を聞いてみる。
「今もう7時50分だよ」
「え?ほんと?」
さっきまでの眠そうな声とは変わって明らかに焦っている声で凜に聞き返す。
「だから早く起きなって」
「まじか」
陽葵は慌てて準備をしながら間に合うことを神に祈った。
「陽葵、今日課題の提出があるんでしょ。忘れないでよ」
「わかってる」
「私先行ってるね」
「いってらっしゃい」
凜が部屋を出てから少したってから、陽葵は凜に言われたとおりに課題を鞄に入れて、部屋を飛び出た。
『やばいって。あと5分しかない。間に合って。』
陽葵は全力で走って教室を目指す。陽葵が教室に飛び込むとちょうど先生が来たところだったようだ。
「兼平。授業はまだ始まってないが1分の遅刻だぞ」
「すいません」
「じゃあ、全員揃ったことだし課題の発表を始めよう。それじゃ網野から」
そういうと先生は網野に壇上を譲った。
「えーと自分はジョーカーの生物的な特徴を調べました。まず、ジョーカーにはオスとメスがあってそれぞれ特徴が違います。
オスはメスに比べて戦闘力では劣っています。ただオスは集団で動くことがほとんどで集団ではメスに匹敵する力を持っています。次にメスです。
メスはさっき言ったようにオスに比べて戦闘力が高いです。またメスにはオスを呼ぶことができるようでメスの危険度はオスよりも高いです。そしてジョーカーの繁殖方法ですがまだわかっていないことが多いそうです。ただ1妻多夫の家族構成になっているようです」
網野はしっかりと集めてきた情報をもとに発表を作っていたようだ。
「網野、お疲れ。初めにしては上出来だ。じゃあ次は森下」
「自分はジョーカーの出現場所について考察を交えながらまとめてみました。
まずジョーカーは北極から出てきたといわれています。そしてカナダやロシア、北欧に同時に侵略を開始しました。同時ということを考えると、北極の中心から出現したんじゃないかと思います。
後ジョーカーの侵略が遅れていることを考えると泳ぐということが苦手なんでしょう。そして北極では観測されるよりも前にジョーカーがいたと思います」
「うん。森下お疲れ。だいぶ良かったな。ただもう少し内容が深いともっとよかった。じゃあ、次は兼平」
「はい私はジョーカーと能力の相性について調べました。
今までの討伐報告によると総討伐数はオスが341体メスが35体です。
その中でほかのウィッチ、ファイター、ガーディアンと比べてクリエイトが討伐したオスの数は3倍ほどありました。
一方でウィッチのメス討伐数は他の3倍でした。これはオスの群れで戦ってくる方法にクリエイトが対応しやすいということです。そしてウィッチの変幻自在な攻撃にメスはついていけていないことがわかります」
「兼平、お疲れ。なかなか考えられたもので面白かった」
陽葵は自分の発表に手応えを感じたようで達成感に浸っている。陽葵がずっと浸っていると、気づいたころにはもう授業が終わっていた。
「網野、発表どうだった?」
「なかなか良かったと思う」
「だよね、私昨日めっちゃ頑張ったもん」
「ただ俺ならもっとよくできたな」
「そういうところだよ」
「まあまあ皆発表もうまくいったんだし、仲良くしようよ」
「森下、網野のこういうところよくないと思うよね」
「話してる内容もわかんないし答えられないよ」
「とにかくほかの人の発表は聞いたほうがいいぞ」
陽葵は心を読まれたことに驚いていた。
「なんで聞いてないことがわかったの!?」
「お前の周りだけ明らかに空気感が違った。どうせ発表の余韻に浸っていたとかそんなところだろ」
「網野の能力本当は人の心を読むことなんじゃない?」
「さあな」
そういうと網野は帰っていった。
「ねえ森下、網野のことどう思う?」
「どう思うってどういうこと?」
「なんか冷たくない?」
「確かにそうだけど、あいつ面白いところもあるから」
「網野に?ほんと?」
「うん。あいつ実は発表に時にめっちゃ喜んでいたんだ。それがめっちゃ可愛かった」
「ほんと?信じられない」
陽葵は森下から聞いたことを自分で消化しようと頑張っているようだったがなかなかできていないようだ。
「あいつは強がっているだけだと思うよ」
「そういうことなのかな?」
陽葵は網野の素顔のことを考えながら帰った。
「陽葵、今日間に合った?」
「うん。ギリギリ大丈夫だった」
凜と陽葵は図書館で借りてきた本を読みながらその日を過ごした。
あとがき
今回初めて作品を投稿しましたkurarasimonです。なにせ初めて小説を書いているのでどのような終わり方になるのかわかりませんがよろしくお願いします。
この作品にいる網野っていうのは実は元ネタがあるんですよね。この網野っていうのは最初違う名前だったんですけど現実とリンクさせると書きやすいってことで名前を変えて性格も少し変えています。
アドバイスがありましたら教えていただけると幸いです。
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