遺伝子パニック



 ぼくの髪の毛は、白髪たっぷりです。これは歳のせいでも、ストレスのせいでもありません。父からの遺伝で、思春期を過ぎた頃から多かったのです。


 この白髪のせいで、困ったことがありました。大学に進学したタイミングで初めて髪を染めたのですが、このときに違和感を感じました。黒髪部分はちゃんと発色してくれるのですが、白髪部分はほとんど染まりません。そのため、せっかく明るい色にしても、ところどころにある白髪のせいでせっかくのヘアカラーが台無しでした。白髪には白髪染めを使わないと染まらないと知ったのはこのときでした。


 今では、定期的に白髪専用の黒染めをしてます。面倒くさいです。あと10年くらいしたら白髪も歳相応に馴染むかもしれませんが、元々童顔なので歳をとっても黒染めし続けるかもしれません。

 ぼくは母親似ですが、容姿も体質も性格も9割くらいは母に似ています。しかし、この白髪だけは父の遺伝が強く現れています。


 父はぼくに言いました。


「俺はハゲてないからな。その髪が俺の遺伝やったら、お前もハゲることはないやろ。よかったな」


 そういう問題じゃない。

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