エッセイ集
名波 路加
これっぽっちの愛をあなたに
パソコンの容量に差があるように、人が持てる感情の容量も様々だと思います。そしてその限られた容量の中で、どんな感情を持って、その感情を何にどれだけ注ぐのか。それも人それぞれだと思います。
ぼくの中には、多くの感情を仕舞っておけるだけの心の容量がありません。すぐにいっぱいになってしまいます。良い本や映画を観たときにはその物語のことで頭がいっぱいになるし、かわいい猫の動画を観たら頭の中は「かわいい」でいっぱい。傷ついて、心が折れて死にたいときは、「死にたい」しか思わなくなってしまう。
そんなぼくですから、人の感情の一つである「愛」も、限られた量しか持ち合わせていません。だから、誰かに注げる愛には限りがあります。
愛を何にどれだけ注ぐかは人それぞれです。小袋に包んで沢山の人にばら撒く人もいれば、たった一人の大切な人へ持てる全ての愛を手渡す人もいるでしょう。どちらも素敵だと思います。そこに悪意や裏切りがなければ、どんな注ぎ方でもいいのです。愛を注ぐ対象が、その人にとって大切なものならば。
誰に、どれだけの愛を手渡すか。それを考えながら生きるのは少し辛い気もするし、幸せな感覚もあるし、なんだか不思議な気持ちになります。愛を手渡す相手を選ぶことは、時には簡単で時には難しくて、そして残酷なことでもあるのでしょう。心の容量は常に一定ではありません。生きていくうちにその容量は縮小していって、いつか愛したかった人を切り捨てないといけなくなるかもしれない。
これっぽっちの愛をあなたに。
そんな感覚で、ぼくは人を愛しています。
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