第十二話 ねえ、覚悟あるって言ったよね?

「ねえ、覚悟あるって言ったよね?」




イサミはニヤリとし誘うように言った。




「は、はい!」




いつもと違う接し方にアステリア王女は思わず改まってしまう。




「行くよ、プリンセスクロス!」




イサミはデバイスを操作し叫ぶ。アステリア王女の身体が光りだし金の装飾の青い鎧に変化する。




「え、え、えー!?」




全く予想だにしていない肉体の変化にアステリア王女はそう叫ぶがそんな声は実際には出せていない。




鎧は立ち上がったイサミに纏われた。




「まぐわるてそういうことか」




イサミは呟きながら戦いの轟音のする方に走る。彼はアステリア王女と身体全体、精神と溶け合う感覚を覚えている。




「わたしの覚悟、返してください」




アステリア王女は泣くように言った。その声はイサミの頭に直接響く。




「男女の交わりより恥ずかしい気がするけど」




敬語の取れたイサミにアステリア王女はやや興奮し始める。興奮のみが伝わったイサミはなんでと違和感を抱く。






「おい、これで終わりか!あの勇者はどこに隠れてる!」




城の広間にて足止めされたフランデンは怒り叫ぶ。




ケイネスも最高騎士長ハリーも、魔術師の講師ももはや歯が立たず地に伏している。




「イサミは後で必ず来る、だから待っていたまえ!」




「総員、動ける者は壁にでもなれ!勇者がくるまでなんとして耐えぬけ!」




ハリーは部下を鼓舞し戦線を死守しようとする。

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