第八話 イサミはアステリア王女と同室


広い城の様々を回った後イサミとケイネスは寝室に案内される。




ケイネスは客用の部屋だがイサミは異なった。




「勇者様の寝室はこちらです」




「ん…………」




案内されイサミは目を丸くする。




豪奢な装飾が部屋の至る場所に施されベッドには天蓋があった。そして大きさは明らかに一人分ではなく二人分だ。




「もしかして…………」




イサミは恐る恐るそのベッドを指さした。




「はい、わたしと同じ部屋になります」




アステリア王女は爽やかに笑った。




「いや、まだ結婚とかしてないのに同じ部屋とか大丈夫なんですか?!その、ほら…………子供とかできたら大変ですし…………」




イサミはしどろもどろに問う。




「え?!もう子供を作るんですか?えっと、わたしもそういう覚悟はまだ…………その…………」




アステリア王女も顔を赤くして横に振った。




「すいません!俺の早とちりでした!ほんとすいません!」




イサミは自分の過ちに気づき頭を下げる。




「いえ、わたしも言葉が足りませんでした。父上も母上もそういうのはまさか結婚前にやらないだろうとおっしゃっいましたので」




アステリア王女も謝罪し経緯を説明した。




「はは、俺たちを信じてるんですね」




一気に緊張が解けイサミは笑ってしまう。




「ですので、それまで愛をゆっくり育みませんか?」




穏やかに笑うアステリア王女の表情はイサミには天使に見えた。




「は、はい…………」




イサミは頷くしかなかった。多少盲目的ではあるがそれでも自分を想う気持ちは本物だと自覚するのだった。

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