僕と家族の奇跡
四季
第1話 突然の事故
「よっこはまー!」
妹の
僕、高校生の
「今から高速に乗るよ!」
父さんが美香と僕に話しかけた。
家族4人を似せた車は高速道路の入り口にある坂を登り、ゲートを通過した。
「久々の旅行、楽しみね!」
母さんが楽しそうに呟いた。
車は高速に入ってから少しスピードを上げた。
僕は次々と流れて行く景色を見ながらうっとりとしていた。
遂に楽しみにしていた旅行がもうすぐ始まるんだ!
「おや、あれは…?」
父さんが呟いた直後、物凄いモーターの音がこっちに近づいてきた。
「あっ、危ない!」
父さんが叫んだ瞬間、大きな音を立て車が止まった。
ガラスの割れた音が聞こえ、衝撃が体全体を伝わり、前の座席に勢いよくぶつかった。
気がつくとそこは地獄そのものだった。
父さんと母さんは血を流してぐったりとしており、美香はワンワン泣いていた。
「ママー!痛いよー!」
「美香、大丈夫か!父さん、母さん、しっかり!」
父さんと母さんの体を揺さぶると、腕から大量の血が流れていた。
「にいに!?」
美香の叫ぶ声が聞こえた。
いつの間にか僕はその場に倒れ気絶していた。
ーーー
「裕介!」
目を覚ますと、幼馴染である
ここは…病院…?僕は何してたんだっけ…
必死に思い出そうとするも、頭が痛い。
確か旅行に行ってて、高速に乗ってから…
「父さんは!?母さんは!?美香は!?」
結実は顔を背け、深刻な表情で言った。
「おばさんとおじさんは…」
ーーー
「うぅっ…なんで南山さんが…」
二つの棺桶の隣で、知らないおばさんが父さんと母さんの有様を見て泣いている。
何故僕が…こんな酷い仕打ちを受けなければならないのか…
「にいに、ママとパパは…?」
何も知らない美香が僕に尋ねてくる。
「ママとパパ、何でねんねしてるの?」
「…」
「にいにってば!」
「五月蝿い!」
何度もしつこく聞いてくる美香に怒鳴ってしまった。
「少しは黙れよ!」
美香は驚いたような顔をし、涙を目にためていた。
「ちょっと、裕介!
その言い方はないんじゃないの!?」
結実がこっちを睨みつけて言った。
「裕介の気持ちは分かるけど、美香ちゃんに怒る必要はないんじゃないの!」
「結実に僕の気持ちなんて分かるか!」
「分かるわけないじゃない!」
「じゃあ何で!」
「裕介のママとパパは、美香ちゃんのママとパパでもあるのよ!」
「もういい!」
僕は個室トイレへと向かった。
「にいに…」
美香は心配そうに僕の背中を見た。
「お兄ちゃんは大丈夫だから…」
結実が美香をぎゅっと抱きしめた。
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