第32話 トロピカンランドへ行くPart1

「トロピカンランドだぁ!」

「こら!愛花!走らないの!」


俺と未来と愛花ちゃんの3人で、遊園地トロピカンランドへ来た。

愛花ちゃんがずっと楽しみにしていた日。

大はしゃぎして走り回っている。


未来はこないだショッピングモールで一緒に買った、水玉模様のワンピース。

愛花ちゃんは赤いスカートを履いて、麦わらぼうしを被っていた。


「愛花、ジェットコースター乗りたい」

「……乗れるかな?」


ジェットコースターは、身長制限があった。

たしかこのトロピカンランドのジェットコースター「ドドーンパ」はたしか身長130センチ以上ないと乗れなかったはずだ。


「愛花、もう乗れるもん!パパと乗るんだもん!」

「うーん……そうだなあ」


小さ過ぎて無理だ、と言うと怒りそうだから、


「あとほんのちょっと、大きくなれば乗れるかな?」

「ぶーぶー!乗りたいのに!」


愛花ちゃんは頬を膨らませて駄々をこねる。


「代わりに、メリーゴーランド乗ろう!」

「ええ!ジェットコースターがいいのにー!」


口をへの字にして、大いに不満げな顔をする。


「へー愛花ちゃんは、パパとは乗りたくないんだー?」


俺はわざと意地悪な顔をする。


「ふへえ?パパと乗りたい乗りたい乗りたい!」


愛花ちゃんは俺に抱きついてきた。

その姿を見て、未来がクスクスと笑った。


「ママ!笑わないで!」


怒り出す愛花ちゃん。


「ごめんごめん。愛花はパパが大好きなのね」

「うん!愛花はパパ大好き!」


◇◇◇


俺たちはメリーゴーランドの列に並んだ。


「いいなー!ママもパパと乗りたいな!」

「ダメ!愛花がパパと乗るの!」

「……3人で乗れる馬車のやつにしようか」


4人乗りの馬車に乗った。

かぼちゃの馬車で、かなり狭い。

未来と愛花ちゃんが隣に座って、俺が向かいに座った。

俺たちは3人でぎゅうと身体を縮めていた。


「パパ……大丈夫?」

「ははは。なんとかね……」


未来が心配そうな顔をする。

俺は無駄に身長がでかいから、かなり首を曲げないといけない。


「あ、そうだ!」


未来が俺の頭を掴んだ。


「え?」

「ほら!こうすれば大丈夫だよ!」

「……おうふ!」


むぎゅうっと、未来は自分の胸に俺の顔を埋めさせた。

すげえ柔らかい。

少し汗ばんだ、未来の匂いがした。


メリーゴーランドが動き出した。

……このままで、無事にかぼちゃの馬車から降りられるかな。


「あはは!すごーい!景色がぐるぐる回っているよー!」


未来の胸に顔を埋めていた俺は、景色は何も見えなかった。











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