異世界を救え! 縁があったのか、ハーレムになりました!

いちのさつき

第1話 ミッション:世界を救え!

 俺は死の世界に行ったらしい。死因は分かっている。転生ものでよくあるトラックとかの事故死ではない。某有名作品のように包丁でグサリではない。元から免疫がよろしくなく、病気でお陀仏。そういうものだ。


「あ。すんません。あなたはこっちです」


 おんぼろの浴衣? 違った。幽霊とかがよく着るあれ。名前を忘れたが、そういうのを着て、審判を待っている間だった。鬼がこっちだと案内された。日本の死の世界と違う世界観だった。どちらかというとギリシャっぽい感じだった。白い柱とか建物とか、資料集で見たものと似ているから間違いない。


「お連れしました」

「ごくろう」


 鬼が自分の仕事場に戻って行った。ギリシャの女神様っぽい恰好をした金髪のアジア系の女性が目の前に座っている。それにしても……エロい。どこがって。お胸が。あと組んだ足も。ふとももがセクシー過ぎる。


「お前の場合は予定よりも早く死んでしまったからな。処置をする担当のものだ」

「予定ですか?」

「ああそうだ」


 かるーく説明してくれた。魂の管理をする時、死ぬ時期も書かれるのだそうだ。死者の人数を確認し、裁判をしていくのだとか。とはいえ、たまに俺のように予定より早く亡くなるケースがあるみたいで、処置をしていくみたいだ。逆は裁く人数が減るだけで支障ないため、スルーらしいが。


「具体的にどう処置するのかと言うと、まあお前たちがよく読むなろう系のようなものだな。異世界転移みたいなものだ。こちらが用意した肉体にお前という魂を入れると言った感じか。再びあちらで死んだ時、改めて審判を執る形となっている」

「マジで?」

「大マジだ」


 処置として別世界で生きる。そういうものだった。女神様は辞書並みに厚い本をペラペラと捲っている。


「宇宙が広いのと同じく、世界も広い。リストは腐る程あるし、交渉をする必要があるのだが……確か助っ人くれとかあったな。ああ。あったあった」


 威厳あると思ったが、案外この人は親しみやすいのかも。いや着眼はそこではない。しれっと「助っ人くれ」と言ってなかったか?


「お前はあそこに転移する。力も与えてやろう。その代わりにこなしてもらいたいミッションがある。因みに拒否権はない」


 あそこが何処かは分からない。そもそも言ったところで俺が理解できないだろうし、問題点ではない。ミッション。その言葉でごくりと唾を飲み込む。


「勇者たちを支援し、世界を救え」


 おい。とんでもないことを言ったぞ。病気になりまくっていた凡人が出来るものではないだろ。本当は文句を言いたい。でもそんな暇もなく、俺は異世界に転移していた。

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