支援職、最強になる~パーティを追放された俺、微妙なハズレスキルと異世界図書館を組み合わせたらえらいことになった。は? 今更戻って来い? 何言ってんだこいつ?~
第45話勇者パーティの末路(ケース1 剣聖エミリア)
第45話勇者パーティの末路(ケース1 剣聖エミリア)
あたしは長い夢を見ていたようだ。そう、勇者パーティでアークデーモンに惨殺されるという悪夢を何度も見た。
しかし。
「う、ん」
あたしが目を覚ますと、そこには父様と母様がいた。
「おお! 目を覚ましたか、エミリア!」
「よかったわ。エミリアが目を覚まして」
「お父様、お母様?」
両親の顔を見て安堵するあたし。
「あたし、どうして? 勇者パーティは? あたし、アークデーモンに……」
そうだ。あたしは剣聖の才能を授かり、勇者パーティの一員となり戦っていた。それは事実、の筈。そして、あのダンジョンでアークデーモンと接敵して惨殺されたのも事実、の……筈。
「怖かったろう、でも、安心おし、もう、エミリアが怖い思いなんてしなくていいんだから」
「そうよ。あなたは勇敢に戦って敗れたけど、聖女アナベル様が復活させてくれたのよ」
「あ、あいつが?」
信じられない。あの性悪な聖女があたしを復活させてくれた?
そもそも、あいつはあのダンジョンで死んだんじゃ?
「エミリア、あいつだなどと呼んではいかん。命の恩人だ」
「そうよ。アナベル様はこの国で一番の強力な戦闘型の聖女様よ。あなた達の遺体をアークデーモンを退けて救出できたのも、聖女アナベル様だからこそできたのよ」
「せ、戦闘型聖女? そんな……」
アナベルが戦闘型聖女? なら、最初からアイツ一人でもグレーターデーモンもアークデーモンも倒せたんじゃない? 何それ?
「他のみんなは? みんな死んだの? それともみんな生きてるの?」
「ああ、みんな生きている。安心しなさい。やはり私の子だ。みなの事が心配なのだな、大半がなんとか五体満足だ」
「そうよ。安心して、だから、これからはずっとこの安全な家で一生暮らすのよ」
「へ?」
なんでこの家で一生暮らす必要がある?
勇者パーティなんて、もうこりごりだけど、適当な金持ちの貴族に嫁入りして、優雅な生活するっしょー。
この家は、あのバカ兄貴が継ぐから、あたしの居場所なんてない。
それに大半が五体満足? 何それ?
「な、なんで、あたしはこの家で一生?」
そう言って手を伸ばそうとした。
……だが。
え?
「……あ……あ……あ」
手は伸びてくれなかった。そして、足を動かそうとしても動かない。
ま、まさか?
「お父様? あ、あたしの手と足は?」
「ううっ! 可哀想なエミリア!」
「やめなさい。一番辛いのはエミリアなのだから」
辛うじて首をもたげることができた。そして自分の身体が目に入る。
ベッドの上で毛布にくるまれていたけど、あたしの手と足の部分は……何も……なかった。
「!? ぎゃあ”あ” あ” あ” あ” あ” がががががーーーー!!!!」
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