第6話 あの日の告白

 みんなに人気の聖女様、御園真帆

 その容姿と雰囲気から学年一の美少女と言われている。


 普段の彼女は当たり障りのない八方美人な態度で周りに接していた。


 だけど人気のない校舎の隅でため息をついて外を眺める彼女を見つけた。声をかけるつもりなんてなかったが。


「滝くん?」


 だけど俺を視界に入れた彼女は何故か俺に学校生活の息苦しさみたいなものを打ち明けた。


 どうして俺に?と思ったがたぶん本当にどうでもいい相手で

 人形に話す様なものだったのかもしれない。

 前髪で隠れてて話しやすかったのかもしれない。



 話し終えた彼女は何故かスッキリした様な表情でまたここで喋らない?と言い出した。

 俺が聞き上手で喋ってるとスッキリするらしい。

 聞き上手とか自覚はないけど

 妹を相手にしてるから、慣れていたのかもしれない。



 それから何ヶ月かそんな関係が続いた。

 容姿が優れ、優しい雰囲気の彼女に俺が好意を寄せるのも時間の問題だった。

 もしかしたら俺は彼女が笑顔になれる唯一の存在なんじゃないかとか思ったりしてしまい、


 やってしまったのだ。


 だけど止められなかった。

 人を好きになると気持ちが止まらないんだなって初めて知った。




 俺はその日の放課後

 彼女に想いを伝えたのだ。



「ごめんなさい、滝くん……」



 振られた瞬間、高鳴っていた心がずしんと沈んでいく感覚に襲われる。



「そっか……ごめんね」


「謝らないで?嬉しかったです。でもお付き合いは私…」


「うん、ありがとうな。返事してくれて」


 それじゃ、と踵を返し去って行こうとする俺に彼女は



「あのっ!……滝くんっ!」


「??」


「セフレならいいですよ?」



 何を言っているのかわからなかったが彼女の目は真剣だった。

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