第69話 様子がおかしいエイラ

「どこ逃げようとしてんだ?」

「殺されたくなければ大人しくこっちおいで」

「もし周りにバレたらたまったもんじゃないかな!」

「……」


 3人の大男たちはボロをまとった小さな子に怖い顔で迫ってくる。


「なんで人間はみんな……こんなひどいことをするんですか……」 


 か弱い声で訴えかけるも3人の大男は聞くそぶりを見せることなく、小さな子に手を伸ばした。


「エリカ……いまだ!」

「了解!はあああ!!」


 エリカは地面を蹴り上げて大男のうち一人を拳で倒した。

 

 斧の収納スキルをまだ獲得してないエリカは今斧が使えない。


 しかし、彼女の常人離れした怪力は大男一人を簡単に倒すことができた。


 そして俺も


「憑依……」


 転がっている石に自我を与えて二人の大男のうち一人を攻撃させた。


 あっという間に二人が倒れ、残るは一人だけ。


 俺は口を開いた。


「誰だか知らないが、こんな小さな子を拉致しようだなんて、一体何者だ!?」

「こここ……こいつは奴隷だ!だからてテメエらとは関係ねー!!!」


 と、大男は大声で叫ぶ。


 それから小さな子の顔が見えないように立ちはだかって両手を広げる。


 まるで俺たちにあの子の姿が見られたらマズそうな反応をしていやがる。


 だが、俺は彼が威嚇しようが止めようが無視して前を歩く。


「く、くるな!!こうなったら……」

 

 大男はナイフを切り出して、小さな男の子の左胸を目指して刺そうとする。


 が、


「こんな小さな子になんてことを……許さない!」


 キレたエリカが大男の背中を思いっきり蹴り上げた。すると、大男は壁にぶつかり、そのまま気絶してしまう。


 エリカはボロをまとっている小さな子を見てしゃがみながら言う。


「大丈夫?怪我はない?」

「……」


 フードをかぶっているため、顔がよく見えないため、エリカはこの子のフードを外した。


 すると、


「「エルフ!?」」


 長いのは金色の髪だけでなく耳もだ。


 ティアナのようにハーフエルフではなく、


 この子は正真正銘のエルフ族の女の子だった、


「……助けてくれてありがとうございます。いい人間もいましたね……私は大丈夫です」

 

 エルフの子が頭を下げると、エリカが彼女の手を握り、訊ねる。


「どうして追われていたの?」

「……私、人族のハゲた悪い人に拉致られて……奴隷にされて……逃げてきました……」

「そ、そんな……酷すぎるわ。エルフを奴隷にするなんて……このことをエルフ族が知ったら戦争が起きてしまうわ」


 エリカのいう通り、これは一大事だ。


 人族とエルフ族は互いを毛嫌いしている。


 このことがバレたら、間違いなく戦争だ。


 もちろんエイラさんがいるから安心だが、戦争は起こる前に防ぐのが最も被害が少ない。


 それに……


 ハゲた悪い人……


 心当たりがありすぎる。


 とりあえずこの子を匿ってあげなければならない。


 我が家は国内海外から貴賓がたくさんくるので、隠すのに適してない。


 つまりは


「エリカ」

「うん」

「この子を匿ってくれ。俺は今家に帰って父上に報告する」

「……わかったわ。それが一番いい考えね」


 俺はエルフの女の子に話しかけた。


「俺はカール。そしてこの子はエリカ。俺の婚約者だ。エリカが君を匿ってくれるはずだ。とても広くて安全なところでね」

「……ありがとうございます……私はリンゼと申します。あなた方は普通の人族とは違いますね」

 

X X X


 俺とエリカは各々の家に行くことにした。


 俺とティアナは馬を借りて我が家に帰った。


 間も無く正門が見えるはずだ。


 奴隷とハゲた悪い人。


 いよいよ第3部が始まってしまうのか。


 そう思っていると、


 短い赤髪の実に美しい女性が見えてきた。


 エイラさんだ。


 エイラさんは俺を見て目を丸くした。


 俺とティアナは止まって馬から降りる。


「エイラ様……お久しぶりです」

「お、お……カールだな。ひ、久しぶりだ」

「ん?」


 エイラさんの様子がおかしい。


 顔全体がピンク色に染まっており、下半身とお腹あたりがしきりに痙攣している。


 いつものキリッとした目は、少しどろっとしていてだらしがない。


 そして、いが俺の鼻を刺激した。


 なんだか全体的に色っぽい。


「っ!」

 

 ティアナはそんな彼女を見て、驚いたように目を大きく開けるが次第に顔を赤くして目を背ける。


 謎すぎるティアナの行動に小首を傾げたが、急にエイラさんが俺の胸ぐらを掴んできた。


「ななな……なんですか!?急に?」

「次は絶対勝つから!!!」

「ひいっ!!」

 

 寿命が縮められるのかと思った。


 一体何に勝つんですかと聞こうとしたが、エイラさんは俺をおろして、歩く始める。


 エイラさんの歩き方は不自然だ。


「一体なんなんだ?」

「さ、さあ……ですね」


 屋敷に入り、父に報告しようとしたが、


 父は眠っていた。



追記


『合コンで出会った超絶美少女が昔助けた人でとんでもない地雷系女(姉はとんでもないヤンデレ)だった』更新しないといけないし、新作を出さないといけないので、一旦中止します。


 一応この作品をカクコン8に応募はしたのですが、どうなるかわかりませんね。


 あ、ちなみにパパとママのR18はこれまで私を応援してくれたサポーターの方々に恩返しがしたくて優先して読んでいただきたく、近況ノートのサポーター限定であげる予定?です(r18をあげてもいいのかどうか分からないんで、運営に問い合わせているところです)。


 時間が経てば、ママとパパンの話はどこかで読めるはずです。



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悪役がいっぱい出てくるエロゲのキモデブ悪役貴族に転生した。痩せて、破滅回避し悪役達による犯罪を未然に防いでスローライフを目指す なるとし @narutoshi

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