第38話
ログインした直後に俺は帰還石を取り出した。
これは一度行った事のある街へと瞬時に転移して戻ることができる優れものだ。
早速使ってみると闘技場の時みたいに視界がホワイトアウトした。
そのまましばらく待つと、アルレのログイン地点に俺は立っていた。
「おお、こりゃ便利だな」
やはりファストトラベルはこの手のゲームじゃ必須級だな。
今はガイから奪った分しか持っていないが、後で取引所で売りがないか見てみよう。
移動効率を上げるアイテムはだいたい高額だが、今の俺の財力なら問題ない。
「ケイさん……! お待たせしましたっ!」
待ち合わせ場所はアルレの街にある噴水広場だ。
そこでしばらく待っているとアオイがやってきた。
「ざわざわ付き合ってもらっちゃって……ありがとうございますっ」
「あぁ、気にすんな。それより手伝って欲しいクエストってのは?」
「あ、はいっ、見てもらった方が早いのでパーティーに招待しますね」
アオイからパーティ申請が届いたので、了承を選択した。
それから現在遂行中のクエスト情報を表示させた。
<
受注条件:ソウルギアのレア度が
達成条件:
報酬:
説明:ダンジョン〝
「パーティーじゃないとダンジョン自体に入れないのか」
「そうなんです。でも私、ケイさん以外にフレンドがいなくて……」
少し恥ずかしそうに頬を掻くアオイ。
何だか意外だな。話す感じだとフレンドなんてすぐできそうなのに。
彼女にはダークネスみたいな癖の強さも無いから尚更だ。
「それに報酬アイテムも弓系ソウルギアの強化素材なんです。だから野良で参加する人を見つけるのも大変で……」
確かに報酬を見ると弓系のソウルギアを持つプレイヤー以外は旨味が全く無いな。
「なるほどな。ま、事情はわかったから手伝ってやるよ」
俺がそう答えると、アオイは嬉しそうに頬を緩ませた。
◇
俺たちは目的地のダンジョンへと向かうために街の外に出た。
そこで手にしたばかりの
光と共に現れたのは、白銀の毛並みに覆われた美しい竜だった。
「わぁ……もふもふ……!」
その姿を目にした途端、アオイが嬌声をあげた。
よかったら触ってみるか?とこちらが提案する前に、既に彼女は
「くぅ~ん……」
喚ばれた刹那、いきなり少女に抱きつかれて困惑する
「この子、名前は何ていうんですか?」
「そう言えば、まだ名前をつけてないな」
「なら私が考えてもいいですか?」
「あぁ、別に構わねーぞ」
別に名前にこだわりはないし、そもそも俺にはセンスが無いしな。
こういうのは女の子に任せた方が良かったりもする。
「じゃあシロちゃんはどうですか? 安直かもしれないですけど……」
「いや、むしろシンプルだからこそいいんじゃないか? お前もそう思うだろ?」
「ガゥッ!」
「よし、それじゃお前は今日からシロだ」
『称号:〝ペットの名前は?〟を獲得しました。VITが永久的に2ポイント増加します』
名付けが完了した瞬間に称号が獲得できた。
よくある定番称号ってヤツだな。
「ダンジョンまでコイツに乗っていこう」
ちなみにステータス的にはこんな感じ。
名称:
騎乗速度:400 ※二人乗り時は300
騎乗効果:二人乗り、悪路走行、段差跳躍、瞬間加速、自律戦闘、嗅覚追跡
説明:美しい毛並みを持つ大型の疾竜。戦闘能力が高く、従魔として共に戦う事が可能。
本当に素晴らしい性能をしている。
これを譲ってくれたフラヴィアには感謝だな。
「わぁ……気持ちいい……」
シロの背中はとても乗り心地が良かった。
この柔らかい体毛の感触は
「それじゃ出発だ」
「は、はい……!」
俺が指示を出すと、シロはダンジョンに向けて走り出した。
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