25:帰ってきた特撮日和(グレート・デイズ)
20XX年、3月31日。
この日、世界規模の不可思議現象が観測された。
粗製乱造しかしなかった映画監督が、
加工、トレパク頼りだった一部のクリエイター、アーティスト
サ
そういった情報で賑わい、世間は
当然、イメージンの施した、『
自己承認欲求を始めとした我欲を
付け足せば、その制限さえ無視して、性懲りも
悲しいかな、それが人間の
しかし、そこで立ち塞がるのが『トクセン』、そして『
そういった、二重の意味で悪質な連中を相手取り、滅ぼし、必要と有らば検挙する。
イメージンに誓った通り、正しく楽しい方向へと、世界を整えて行く
余談だが。
あれからマスルオは、まだ見ぬ強敵を求め、宇宙へと旅立った。
去り際に、「名実共に最強となり、再戦する」などと息巻いていたが。
次に
というか、今度の今度こそ、
その前に、やられるか、改心するか、気が変わってくれる
念の
そして今、
平和と休日を精一杯、満喫する
※
「やっとだ……!
キタキタキタキターッ!!」
「ねー」
備えに備えていた最終決戦を終え。
明日から新たな『トクセン』を作り上げるだけの英気を養う
上映最終日に見収めるべく、
最後にして最大の楽しみを、大スクリーンと大音響、そして大量の絶品フード、ドリンクで、骨の髄まで味わうべく。
「いやー、待ちくたびれたぜ!!
TDGと、TDG!!
新旧トリプル巨人、合わせて6人の、ノンストップ豪華共演!!
しかも、オリキャス揃い踏み!!
おまけに対するは、ゴッデスモネラを始めとした、ラスボス軍団!!
極めつけに、バトル・パート鬼マシの180分!!
く〜!!
「この日の
「ったりめぇだ!!
こういうのは、映画館で観てなんぼじゃろがい!!
それが、醍醐味ってもんよ!!」
「粗大ゴミにはならなさそうだから、安心して。
ネタバレ無しで感想記事、漁ってたから」
「そりゃあ
相変わらず、気が利くな!!
サンキュー、相棒!!」
感謝の意を表したいのか、
振る舞いからも分かる通り、相変わらず、女性としての魅力は薄い。
が、これ
「にしても。
「そりゃあ、お前にすっかり、特撮好きにされたからな!」
「それもだけど。
前までは、ファスト系。
感想記事とかハイライトだけで、満足してたのに」
「あー……」
それまでの勢いを失い、少し
「確かに、そうだけどさ。
出会ったばっかの時も言ってたけど、仕事あれこれ含めずとも、特撮に興味自体は
それに、ほら、なんてーかさ。
こういう、『エアプ勢』っての?
そういうのだって、娯楽を損なわせるかもって、痛感したからさ。
今回の一見で。
まぁそもそも、そんな粗悪品、偽装品だらけになってたエンタメ業界にも、大なり小なり問題、欠陥は
それでも、やっぱ、好きな物は好きだし、気になるし、追い掛けたいし、コレクションしたいし、享受したい
だからさ」
ややあって向き合って
「エイトさえ、良ければさ。
これからも、
こんな感じで、ちゃらんぽらんだから。
良し悪しの分別とか付かんし、リサーチしようものなら、ネタバレに爆撃されるのが関の山だから。
未見のまま、新鮮に楽しむ
その点、エイトなら、そこら辺も掻い潜って、最速かつ最短で、
そうやって、これからもサポートして
それを参考にした上で、観るかどうか決めたいなって。
……
「……ううん。
俺も、
俺も、それを本心で望んでる」
「
嘘
「……と、思う」
まだ
そもそも、この世に産まれたのだって、
そんな状態で、
それでも
逃げずに、卑下せずに、
であれば、
彼の気持ち、決意を尊重するのみ。
「そっか。
偉いなぁ、エイト!!
「……そうだっけ?」
「似た
お前なんか、こうしてやる!
ほれほれー!
「痛い……。
痛いよ、ユーさん……。
具体的には、お腹が……」
軽くヘッドロックを掛け、じゃれる
程なくして車内は、二人の笑い声で埋もれるのだった。
数分後。
飽きた二人は、本来の目的を果たすべく着陸し、車から降り、映画館へと向かう。
新たなる創作神たる
地球や人類さえ生み出した想造神すら
公表されてこそいないものの、仲間と共に、文字通り世界を守った二人。
戦いも終わり、救世主と言っても差し支えない二人には、もう恐れる物など
『機材トラブルにより本日、映画館を臨時休業とさせて頂きます』
でもなかった。
「うぉう……」
神も仏もあったもんじゃない、
ここに来て、まさかのトラップ。
不測の事態に、
「
ホーム・ページにも、そう書いてる。
めっちゃ小さいし、一番下に」
「トリガ◯……!!
そんな彼女を見てられず、こっそり
「えー!?
きょう、デッカ◯、いないのー!?
やだ、やだ、やだぁ!!
パパとママときたのにー!!」
ふと、自分と似た趣旨の抗議をする子供の声。
危うく、ドラク◯を買って
気持ち程度に残っていた、大人としてのプライドが発動し、正気に帰り、立ち上がり。
思った通り。
お目当てのTDGが観られず涙目の少女と、縋り付かれ困り顔の両親が
職業柄、そういった状況に、
ここが『トクセン』ではない、三人が自分のお客様ではないと重々、承知していても、見過ごせない。
それが人間、人情という物である。
が、策も
この一年で、
こういったケースでなくとも、アイデアの
単なる時間の無駄なのだ。
「お」
自分が求める条件に適してそうなスポットを見付け、指パッチンをする
そうと決まればと、親子に接触する。
「あのぉ」
アピアランスを整え、にこやかかつ軽やかに近付き。
アクセルを提示しつつ、
「
丁度、そこにカフェが
「……ええっとぉ……。」
「どちら
怪しい誘いに身構え、子供を匿う両親。
キャッチ・セールスかマルチ商法とでも受け取られたらしい。
無理も
「あ〜!!
おねーさん、『トクセン』だぁ!!
すご〜い!!」
そのまま二人の手を振り払い、少女は
しめた。
これは、効果的。
空かさず、
「こんにちは。
初めまして。
「うん!
トモ、いっぱいみたもん!!」
「トモちゃんっていうんだ。
そっかぁ。
偉いねぇ、ありがとねぇ」
お礼に頭を撫で撫でする
トモという少女は、
「『トクセン』、って……。
いつも、トモが言ってる、あの?」
「うん!!
おねーちゃん、そこの『オヤダマ』なの!
すっごくつよくて、カッコイイんだぁ!」
横に立ち、広げた手を
ややオーバーな手厚い歓迎と、
「初めまして兼、改めまして。
ご紹介に預かりました、
今、トモちゃんが言ってくれた通り。
特撮グッズ、家電量販店『トクセン』にて、店長をさせて頂いております。
仕事柄、そして同じ不運に見舞われた立場上、どうしても見逃せなくって。
なので、皆さんさえ
「なるほど。
ご厚意、痛み入ります」
「そういう
私、てっきり……。
すみませんでした」
「
私の方こそ、すみません。
どうも、お節介みたいで」
誤解、警戒が解かれ、和やかなムードになる4人。
お詫び代わりに、
「でも、大丈夫なんですか?
法令違反とかに当たるんじゃあ。
それも、見ず知らず、初対面の相手になんて」
「確かに、グレーかもですけど。
お金さえ発生しなければ、セーフじゃないでしょうか。
それに、状況も状況ですし。
確かに、人も
最終日に観られないだなんて、あんまりじゃないですか。
しかも
「それは、そうですが……」
そこで
「では、こうしましょう。
今から皆さんは、『私の友達』。
これから私は、『友達と、サブスクで鑑賞会をする』だけ。
だったら、そこまで変でも怪しく
休日の過ごし方として、至って普通ですよね?」
「え?
ええ、まぁ……」
「そして、『もし映画が面白かったら改めて、まだ上映中のシアターや、レンタルや配信でご鑑賞頂く』。
値段やタイミングの差は
申し分ないし、申し訳なく
そっちのが、休憩も挟み
「た、確かに……」
即興で思い付いたにしては、中々の計画。
こういう時、改めて実感する。
自分は、落ち着いてさえいれば、そこそこ上手く立ち回れるタイプなのだと。
すっかり
単独でも、まぁまぁ動けるのだと。
「ドヤってる所、悪いけど。
その必要は
ユーさん」
「うぉう!?」
いつの間にか戻っていた
トモ
「機材なら、たった今、俺が直して来た」
「……は?
どうやって?」
「ん」
トントンッと、
どうやら、またしても
今日も今日とて、平常運転でチートである。
……待てよ?
「……だったら、最初から予知して、電話で手立て打っとけば事足りたんじゃね?」
「……あ」
思わぬ落とし穴に、素っ頓狂な顔になる
無双は
楽しみにし
「やれやれ。
お互い、ジリツには程遠いな」
「……だね」
互いに苦笑いしてから、
「直した謝礼として一ヶ所、イベント用のシアターを貸し切りさせて
丁度、丸一日、空いてたらしくて。
俺の動画アプリとペアリングさせれば、大スクリーンで、ダブルTDGが観られます。
持ち込み可で、ドリンクとポップ・コーンのサービス付きで、適度に休憩も取れますし、思いっ切り叫べますし、悪びれる必要も
それに、TDGへの還元は俺が担当してますし、お金ならカフェには支払っているので、お咎め無し。
現状、最適解だと思いますが、どうですか?」
「後出しで上位互換叩き出して見せ場と手柄総嘗めすんの止めーや、お前。
でも、
それなら、カフェでテイク・アウトして、心行くまでTDGを堪能
災い転じて福となす」
「左様」
「て
トモちゃん」
「やった〜!!」
二人ではなくトモに聞く
将を射んと欲すれば
あくまでも、それに近い形というだけだが。
二人の魅力的な提案と、期待に満ちたキラキラしたトモの眼差し。
これに抗う
やがて、
「……でしたら、はい」
「お言葉に甘えさせて頂きます」
ここに来て、素直に折れる夫婦。
「そうと決まれば、
行くぞ、トモちゃん!
「お〜!」
取り残された三人は、少し沈黙に包まれるも、
「
ユーさんの、相棒です。
お世話になります」
「こ、こちらこそ」
「娘共々、
「りょ」
割と早く砕け、打ち解けた三人。
そして、数分後。
5人で仲良く、堂々と、ダブルTDGを味わい尽くし。
そして時間の許す限り、他の特撮やアニメも鑑賞し。
大興奮、大満足の休日にするのだった。
※
楽しい一時は、あっと言う間に過ぎ去り。
即席の鑑賞会連合は、解散となる。
「やだー!
ユーちゃんと、いっしょいるー!」
彼女は、トモに頭ポンポンをして注意を引き、宥める。
「安心しなって。
「……ほんと?
また、いっしょ、できる?」
「どうせ地球は丸いんだ。
いつでも、また会えるさ。
それに
トモちゃんの家まで、ひとっ飛びさ。
だから、泣かないの。
今度は、トモちゃんと同じ
ね?」
「……うん」
言われた通り、泣き止むトモ。
「良い子だ」
最後に、トモの髪をグシャグシャにし、撫でる
そのまま姿勢を直し、
「ところで。
これから、どうやって帰る予定で?」
「電車です」
「て
でしたら、送って行きます。
その方が早く着けるし、長く一緒に
な? エイト」
「ん」
気が早い
半信半疑だったらしく、
次いで、近くに
「んー?
なぁ、エイト。
これじゃ、ちっこくない?」
「ん。
リサイズ」
「次いでに、色も変えるか。
「オレンジ!!」
「
ほれ、エイト。
姫様がご
とっとと染め上げて差し上げろ」
「ん」
アクセルを操作し、後部座席を追加。
二人乗りから一転、オレンジ色のファミリー・カーに早変わりする。
お
「あ、あ、あのっ!」
「
我々の
タダでさえ色々、サービスして
我先にとトモが乗ったタイミングで、罪悪感を覚える夫妻。
「お二人は、トモちゃんを立派に育てられてるじゃないですか。
結婚する気の
とは言うものの。
これで納得する二人ではないと、
鑑賞会の時でさえ、オッケーを
かくなる上は。
と、
「じゃあ、交換条件って
トモちゃん。
この車に、名前を付けてくれるかな?」
「おなまえ?」
「そ。
どんな名前が
「うーん……。
……『プカプカー』!!」
「えと、トモちゃん?
もっとこう、他に
例えば、ほら、『パトカー』みたいなの!」
「ん〜?」
「じゃあ、『鳥さん』を『英語』で言うと?」
「『バード』!
トモこのまえ、ならった!」
「正解!
じゃあ、それを『車』と合わせて、パトカーみたいに言えば?」
「『バドカー』!!」
「はい、決まった、
今日から、これは『バドカー』だ!
という
さあ、乗った乗った!
そろそろ、愛するトモちゃんも、おねむですし!
トモちゃーん! そのまま寝ても
「ん……そうする……」
途中からクイズめいた誘導尋問の上、出会ったばかりの女児への相乗り強要。
先程まで共に遊んだ間柄でなければ、ほぼ間違い
「……すみません。
年端も行かない子、人質に取って、脅迫紛いとか。
こんな、雑な、最低なやり方しか
でも
トモちゃんや、お二人のお
先程、ああ仰ってましたけど。
てか、サービスして
だからってんじゃないし、恩着せがましいのは百も承知ですけど。
せめて、これ
ここまで無理を押して付き合わせた以上、帰りの時間
説得力、ペラッペラですし。
すっかり、注目の的ですけど」
頭を下げ、語彙力も乏しいままに、非礼を詫びる
片棒を担いだ罪悪感からか、
二人の気持ちが通じたのか。
夫妻は、やがて
「分かりました。
お邪魔させてください」
「今度、『トクセン』にも。
私も、パパも、トモも、すっかりファンになってしまったので」
暖かい言葉と共に、手を差し伸べる夫妻。
「……はいっ!!
是非っ!!」
「お待ちしてます。
その暁には、最大級にお
「今日以上の!?」
「普通で!
なるべく、普通目で!
平に、ご容赦ください!」
と、こんな調子で、すったもんだ
数分後、5人は和やかに、トモの家へと向かうのだった。
※
バドカーでトモ
「
ユーさん」
「まぁね。
それも一度に、三人も」
「内一人は、趣味友」
「それな。
今もさぁ、トモちゃんと
っても、返信来なくなった辺り、寝落ちしたっぽいけど」
「楽しそうで
目の前に
彼のお
悪い方、そして飛び切り
「
やっぱ、
好き同士ってだけで、垣根も年齢差も越えて、あっという間に仲良くなれる。
そういう使命を、神様から受けたんだ」
「不安?」
「そらそうだよ。
ディスられたり、悪用されたり。
どれだけ熱心にアピール、アプローチしても、届いてなかったりする。
トモのご両親には、『トクセン』について
1年間、ひたすら宣伝しても、喧伝には至らなかった。
丁度、それが発覚した、今日みたいに。
未だに根強く残る、古習めいた、凝り固まった、特撮への風当たり、偏見。
そこから来る、「口にするのも
噛み砕くのが困難な、突飛過ぎる、未来由来の技術力。
活字離れが嘆かれるまでに、懸念されている語彙力。
スマホが発達し過ぎた、身近になり過ぎたばっかりに、煽りを受けた結果の、日々の会話不足。
作品数が膨大過ぎる
事実無根だろうと冤罪だろうと風の噂だろうと、隙あらば、ここぞとばかりに炎上させたがり、違っていたら行方を眩ませる、SNSの悪習。
現代の日本をストレス社会たらしめる、主に労働絡みのアレコレ。
未だにデフレ脱却が後回しにされ続けているが
といった具合に、その要因は、枚挙に暇が
特撮に限らず、とどのつまり
趣味とは、自分自身その物。
大多数の人間を構成し、命や魂、人生と直結する、生きて行く上で必要、重要なな栄養素。
自分の趣味を他者に明かすのは、
初対面、公衆の面前などで晒すなど自殺行為、一種のプレイに他ならないのだ。
そういう意味では、今の時代に創作で一旗挙げようというのは、単なる無謀な大冒険なのではなかろうか。
我ながら
けれど。
「……ん」
不意に、
突拍子も
「……どした?」
「……
「答えになってない。
別に、不許可ってんじゃない。
あと、その聞き方は
お前、最近、自分の
「こうすれば、ユーさん、喜ぶから」
「……そうだよな。
お前は、そういう
あと、大正解」
「やたー」
依然として、緊張感の
ああだこうだと悩んでいる
でも、そうだ。
自分には、相棒が。
仕事でもプライベートでも生活面でも支えてくれる、
他にも、同じ未来を目指してくれる仲間が、わんさか
自分達の店を気に入り、興味を持ち、足繁く、
今はまだ敵わずとも、いずれは世界を
自分の心は、まだまだ
特撮も、『トクセン』も、自分の人生も、もっと強く、大きく、面白くなれる。
「……充電、
「おう。
ありがとな、エイト」
「ん」
自分も
やる
もっと、もっと、気張って行かなくては。
と。
その前に。
「エイト。
そろそろ、いつものアレ、頼むわ」
「ん」
「明日は、イタ電が来そう。
今、敵の住所と電話番号を警察に送ったから、今日中には逮捕
「性懲りないなぁ。
これで何人目だよ。
どうせまた、いつもの、タダ飯、獄中生活に憧れてるだけの不適合者だろうけど」
「あと、本とかを切り裂く常習犯が現れそう。
通称、切り裂きジャック。
こっちも、例によって例の
「名前、無駄にカッケーな。
由来、最悪だけど。
でも、これで安心だわ」
「あと、痴漢が出そう。
こっちも、常習犯」
「オッケー。
いつも通り、
そういう下衆は、徹底的に痛めつけないと。
で、
「他にも、獣電鬼みたいな厄介クレーマーも出没しそう。
そこまで実害は
「なら、オカミさんの出番だな。
あの人なら、嬉々として引き受けてくれるだろう。
「あと、トモちゃん一家が、開店直後に来てくれる」
「2連休だったのか。
にしても、
最高だな。
グゥレートですよ、こいつは。
朝礼で共有して、盛大に歓迎しよう。
あと、
そう、トモちゃんと確約したからな」
「とまぁ、『トクセン』絡みだと、そんな感じ。
他は、いつも通り、もう少ししたら、それぞれの県の刑事さん
「……すっかり板についたな。
深夜の預言者『ハチ』」
「ユーさんのお
ユーさんの感受性の豊かさ、誰に対しても親身になれるフレンドリーさ、EQのお
俺だけなら、ここまでは成し遂げられなかった」
上述の通り。
睡眠が
この二つの特性により、未曾有の大事件から軽犯罪、虐めや各種ハラスメント、果ては迷子の子猫や落とし物に至るまで予知。
日夜、各地の警察署に連絡し、解決と防犯に貢献しているのだ。
それも、無償で。
そんな日々を一年間も送っている内に、『ハチ』と名乗れば
彼女の相棒。
特撮の先生。
我が家の使用人、管理人。
超人気サブスク『特トーク』の発案、管理者。
世界的ゲーム『
そして、深夜の預言者『ハチ』。
実に8つもの顔を使い分けている、紛れもない大天才なのである。
「冷静に立ち返るとさ。
いや、そうじゃなくてもさ。
とんでもないな、お前……。
普段こんな調子だから、イメージと有能さが結び付かんけど……」
「割と、余裕
今だって、隙間時間に、オリジナル新作ゲーム作ってるし」
「
隙間、
普通は合間、縫えないよ?
本来なら今お前、新妻◯イジより激務だよ?
贔屓目
ちな、
「『クマ娘』。
「……そっか。
怒られない
「御意」
普段の
この調子なら、杞憂だろう。
現に今は、心から楽しそうに告げている
著作権も、まぁ……彼の人柄と優秀さを
多分。恐らく。メイビー。
「さて、と」
「そろそろ、寝るか。
エイトも、あんま無理すんなよ」
「ん。
おやすみ」
「おやすみ。
また明日な」
「ん」
挨拶を済ませ、別行動を開始する二人。
これから各都道府県の警察と話し合うというのに、どこか
どうやら、自分の世話焼き気質は、彼にも伝染したらしい。
そんな相棒を見て、やれやれと思いつつ、
※
これは、とある片田舎に位置する、ちょっと変てこ
この物語を最後まで観てくれた君達は、もしかしたら興味を持つかもしれない。
行きたい、見たい、ヒーローに会いたい、と。
そんな君達の前には今、多くの壁が立っている
行く
辿り着くまでの手段。
パパとママの説得。
知らない場所への恐怖。
そして、
悩みも理由も、人それぞれ。
けれど、安心して
君達の呼び声に導かれ、特別に、出張して来てくれるかもしれない。
ひょっとしたら、最後まで諦めなかった君達には、ご褒美が待っているかもしれない。
希望を、情熱を、好奇心を持った、君達の
さぁ、勇気
大冒険へと旅立つ準備は、出来ているか?
知りもしない誰かの書いた地図なんて、
胸のど真ん中、羅心盤を目印に、駆け出そう。
今こそ、声高らかに叫べ。
君達自身を、呼び覚ませ。
合言葉は、ただ一つ。
得しかせん、『トクセン』!!
◯◯県とオンラインで、君達を待っている!!
※
「という
ご新規様開拓の
脚本のリオ様、主演の
翌日の朝礼にて、初っ端から物凄い事後報告を済ませる
元気な彼女とは正反対に、
思い付き、無茶振りした直後、本人達そっちのけで、
「勘弁してよ、ボス……。
次からは、もっと事前にアポ取って
数分の尺とはいえ、欠陥工事なんて
一人だけ快適とか、無能上司のする
「あれれー?
もしかしてリオ様、
いやー、ごめんねー、邪魔してー」
「……まるで反省してないわね、あんた。
結婚願望
「
「てか。
被害者ってんなら、私の方ですよ。
困るんですよ、司令、こういうの。
確かに、『トクセン』随一の被写体、うら若さの持ち主なのは、否定しません。
けど、だからといって、便利に消費されっ放しってのは、性に合いません。
大体、カメラ担当の
こっちはド深夜に、サイッキューちゃん
しかも、自室にカチコミされ、退路を断たれ、要求も不鮮明でリテイクの嵐、メイクに次ぐメイク、1に着せ替え2に着せ替え、3、4が
誰が、
一体、人を
「
ほれより、ほい、今回の報酬。
ちゃんと、
「
そういう
この
引き続き、『トクセン伝大使』として、引き続き、こき使われて、ペット扱いされて差し上げましょう。
「今日も今日とて、見事にチグハグ、
神に棒付きキャンディでも恵まれて、ありがたく受け取ったのかしら」
「俺からも一言、
お客様が、間も
「いや、『営業時間です』って普通に言えや」
「面白味に欠けるかな、って」
「ここで今、お前に足りない物、それは正確さ
そして、
「ギリ平成だよ?」
「違う、そうじゃない」
安定の天然っ
横で、
「あぁ、あぁ……。
店長さんのお友達に、粗相など致してないでしょうか……?」
「あんたが、お腹を痛めてまで産んだ子だろう。
母親が信じなくて、どうするんだい」
「そうだし、ワカミっち!
信じて仕事あるのみだし!」
「平気ぃ、平気ぃ。
シィナのお菓子でぇ、魔法に掛けてぇ。
絆バリカタにぃ、しちゃうからぁ」
「そ、そうですよね、お義母様、
よーっし! 張り切って、行きましょー!!」
いつも通り怯えている
「はーっはっはっはぁっ!!
今こそ、
「
今日も期待、信頼しているぞ、キンニグ氏、フッキング氏。
「あ、あのぉ……。
そろそろ、色々、改名すべきかと……。
あうぅ……。
は、恥ずかし
スーツを着用し、気合十分の
その後ろで、肩を
「ワクテカですねぇ!
今日は一体、どんなトッキューちゃん
あー改造したい改造したい改造したい改造したい改造したい改造したい」
「想像だけで一気に回復したわね、あんた。
どんな相手だろうと、構やしないわ。
噛み合ってる
「
最終チェック。
今日の我々のミッションは?」
「与えられたタスクのクリア。
及び、スタッフに対するブレーキ、リード、チェック、サポート、ツッコミを、プラス。
次いで、阻害因子のマイナス」
「以下同文」
「エグザクトリー。
いつも通り、ミッションを遂行する。
手伝って。
あなた
「りょ」
「心得た」
一同が騒ぐ中、拳を突き合わせる、後方監督面の
こんな、連携なんて満足に取れそうにない面々。
だが一度、玄関が開き、お客様がご来店されれば、話は別。
危な
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