第17話 驚愕アイロニー
「ど、どうしたのショウちゃん!?
そんな大きな声を出して」
俺の声に驚いたのか、狼狽しながら訪ねてくるコノハ。
その不安そうな声に俺も我に返る。
周囲を見渡せは俺達を興味深そうに見つめる観衆。
よもやま話が花開いている。
うるせ、痴話喧嘩でも愛憎のもつれでも何でもねえよ。
ただ……ここで怪しまれると、後が面倒だな。
俺は周囲に何でもありませんよ、と愛想を振りまくと、コノハの手を取り奥の個室ブースへと引っ張っていく。
俯き、赤面しながらも黙々と従うコノハ。
何でこういう時だけそんな恥じらいに満ちた態度なんだよ!
いつもの元気はどうした!?
つられて顔が上気するのを実感しながらも……俺達は野次の声を避けブースへ潜り込んだ。
「それでだな、コノハ」
「だ、駄目だよ……ショウちゃん。
ここじゃ誰かに見られちゃう……」
「何を言ってるんだ、お前は!」
「あいたっ。
何もデコピンする必要はないじゃない!」
「いつまでも色ボケしているからだ。
ここに来た意味を考えろ」
「? ショウちゃんの猛々しい衝動をボクにぶつける為?
いいよ、ボク。
そーいう事に理解はあるもん。
ショウちゃんが望むなら覚悟は出来てるし……」
「無言で目を瞑るな!
何の覚悟だよ、いったい。
目を見開いてまずはこれを確認しろ!」
閉眼し唇を突き出すコノハ。
俺は再度デコピンをくれてやると、涙目のコノハに絶叫の理由となったステータス表を見せてやる。
「痛いな~もう。
これがどうかしたの?」
「いいから確認してみろ」
「は~い。
どれどれ」
『名前 咲夜コノハ
職業 勇者(特技特化型)
LV 2
HP 15(+3)
MP 7 (+2)
筋力 4 (+1)
速力 12(+3)
体力 5 (+1)
賢明 12(+1)
幸運 60(+2) 』
「おー☆
結構バランス良くアップしたね。
北海道みたいにステータスダウンする可能性もある地区じゃなく良かった」
「確かにバランスのいい成長だ。
さすがは勇者、と褒めておく。
けどな、俺が問題視してるのはその下だ」
「えーっと何々……
特技 自爆魔法L1 メ〇ンテ 自己犠牲呪文
生命力を攻撃力に転換し、敵全体に大ダメージ。術者は死ぬ。
って……ナニコレ? どういう事?」
「俺が聞きたいわ!」
俺の魂からの叫びに、コノハは不思議そうに首を傾けた。
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