ドウジャク凡愚

いずもん

作家の中の世界

『あるところに

ある日

ある時

とある』


作家はいつもこうやって文を作っていた。

それは見事に一部の層にヒットしたのだが

6作目に入った頃、友達は言った。

「毎回毎回このつづりって抽象的すぎるんじゃない?」


「?


『あるところに

ある日

ある時

とある』


全部『ある』が悪いんだ!!」

かなりぶっ飛んだ考えに至った。


『ところに

と』


時、今日は半ドンだったのでぶらぶらと街を回った。


ところに、気に入らないタイプの女がいた。


女は男3人を引き連れて家に入っていった。


気になって作家は女を日常的につけるようになった。


女は20代後半のようだ。

どうやら借金をしているのにも関わらずクラブに通い詰めており、

挙句の果てにもうじき結婚を予定していた。


作家はそんなにするすると人生を進められるのはおかしいんじゃないかと思った。


当然他人の人生なんて普通なら深追いしない、

だが作家は幼い頃からとても独特な個性を持っていた。


悪く言えば…粘着質だった。


それが作用してか、友達から言われた文章のつづりの件も気になって気になって仕方がなかった。


作家は、指摘されておかしな部分を自覚しても

根本的な何かに気づくことが出来ない。

そんな事を薄々考えていたが

そんな現実から逃避してしまった。


『時、

日、』


気になった相手を見つけては

ひたすら付けた。


「このままだとどうでもいい人の人生を知るだけで無駄な時間を過ごしてしまう。」


作家は自分に起きている根本的なものについてではなく、『時間の無駄』という

またまた独特な思想を発揮した。


そのうち女は子供を産んだ。

作家はその子供に哀れみを覚えた


子供は不幸であるとも限らないし


作家は一方的にストーカー行為を繰り返して

女性側の詳しいことは分かっていないという。


ある日友達に突然声を掛けられた


「あそこの家のアカンボは可哀想だ」


「人様の家のことなんか気にしなくていいと思うんだけどな」


「そんなこと言って、

気になったらお前も同じことするんだろう」


「いやー!どうなんだろう。

まぁ好きな人が取られたら同じことするかも?


でもこの前さ、夜中にお前が

あの家の二階によじ登って行くの見たんだけど」


「見られてた?!」


「ハシゴ使ってアカンボ抱っこしてたじゃん。

あれスゲーブキミで、」


「まぁそういうことなんだよ」


「でもその時間の使い方って無駄だと思わないか?

音無し字幕なしのアニメ見てるみたいな感じでさ、


しかも捕まるリスクもある」


「確かに!無駄!」



日、病院に行った。


「最近時間の使い方が無駄になってて

どうしたら有意義に使えるようになりますか?」



お医者様と何十分も話した。


「あなたは頭のネジが外れてるどころか

そのままネジを無くしたまま、帰ってこないみたいな状況ですね」


作家はとにかく共感を求めた。


自分の行動をすべて知っていて

その上肯定してくれる友達、

思い付いた限りにノートに書き綴って行った。


「お前の考え方は誰かに必ず刺さって

感慨深いと思う人もいる。

何でも思想自体は自由だと思う。

それが人殺しの話でも

ストーカー目線でも


人は内に秘めた人には言えない狂気性

それが絶対にあるんだと思う。」


賛否両論も多かったが

作品一つ一つが注目されることが多かった。

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