第13話 学園のアイドルと秘密のおデート
ひかりに連れられた店に入り、指定されたテーブル席にひかりと対面して座る。
最初ははどこに行くのだろうと思っていたんだけど……。
「あれ?」
「何よ、わたしの連れて来た場所に文句でもあるのかしら?」
「いやいや、それはないんだけど‥…」
周りをきょろきょろ見渡す。
上からはおしゃれで明るめな白昼色のライト、全体的に木で造られたモダンな外装やテーブルに、横文字の多いメニュー。
……うん、何度見てもおしゃれなカフェだ。
なんだ、本当にデートっぽいところに来てしまったぞ?
「あ、お金の問題? それなら大丈夫よ、ここは普通の値段だから」
「そ、そっか……」
じゃなくて!
なんでいきなりおしゃれなカフェに来てしまっているんだ!?
俺はてっきり、エージェント系のお店に行くものだとばかり……。
なんて思ってるのもつかの間、
「前に
「え? うん」
ひかりが話し始めたので、俺も状況を受け入れて聞くことにする。
それにしても意外と来てないんだな。
「ほら、ここって鍵がないと入れないじゃない? おばあちゃんも、わたしが一人前になったらくれるって約束だったんだけど、中々くれなくって」
「そうだったのか」
「そ。だからね、賢人には感謝してるんだよ。わたしが認められたわけじゃないかもしれないけど、結果的におばあちゃんから鍵をもらえたからさ」
「そっか」
それにしてはすんなりと鍵をくれたような。
もしかして俺を信頼して……いや、それはないか。
「ありがとうね」
「!」
ひかりのニコっとした笑み。
気のせいかもしれないけど、今の顔は学校で友達に見せる表情とはまた違った笑顔のような気がして、すごくドキドキする。
と同時に、俺は決心していた。
うむ、これは完全にデート。
そう思うことにしよう。
ならばこの際、エージェントうんぬんはどうでもいい。
俺は今日、ひかりとのデートを精一杯楽しむんだ!
そうしてカフェでひと時過ごした
「さ、行きましょ!」
「おう!」
俺たちは裏商店街へと駆け出す。
裏商店街、中央のデパート。
「おお……まじで表の世界とはレベチなんだな」
「そうね、ここは裏商店街でも一番人が集まるとこだし」
横の面積が大型デパート以上に広いにもかかわらず、階層も二十階まである。
最もポピュラーというデパートにやってきた。
「ここには基本なんでもあるわよ。雑貨にファッションに、もちろんエージェント関連もね。ちなみに階層が上がると物の値段が増えていって、十階からは値段が跳ね上がっていくわ」
「上層階、こええ……」
「あははっ! それまではわたし達みたいな高校生がいても全然大丈夫よ。ちょっと広いデパートだと思ってくれたら良いわ」
「お、おう……」
若干
正直、この笑顔を横で眺めているだけで俺は本望だ。
なんて思っていたけど、この後のひかりとのデートはそれ以上に楽しかった。
最初に訪れたのはアパレルショップ。
「うん、似合う似合う! 意外とスタイル悪くないし、賢人はこのぐらいのでも良いんじゃないかしら!」
「意外と、な」
「あははー。そこはご愛嬌ということで」
行きたいとことかない? と聞かれたところ、俺は「陰キャっぽい服しか持ってない」と恥ずかしい相談をした。
それで来たのが、アパレルショップだ。
正直、デートでこういう店に行くのは理解できなかったのだが……
「これなんて可愛いと思うけどなあ」
「俺に可愛さって要る?」
「可愛さも一つのおしゃれよ!」
これが意外と楽しい。
ひかりと一緒というのもあるが、ひかりが俺のために物を選んでくれる、これがすごく嬉しい。
「しかも意外とお手頃価格」
「でしょっ!」
“桜花家クーポン”の存在も大きく、俺は迷わず購入。
早速全身おしゃれに着替えて、デートの続きといこう。
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