⑫
訊こう。
当たり前だ。そのためにコーンポタージュをおごったんだし、それに……幼なじみなのに様子がおかしいのを見て見ぬフリするなんて、そんなのはおかしい。
でも、どうやって切り出そうか? あまりにも深刻に訊くと、かえって話しにくいかもしれないし、逆にヘラヘラしながら訊くのも違う。
うーむ……。コーンポタージュをちびちび飲みながら考えあぐねていると、
「ねえ」
怜奈のほうから不意に話しかけてきた。
「あなたも憶えてる? 確か小学五年生の宿泊学習の時、二人で夜遅くに自販機に飲み物を買いに行って、こうやって空を見ながら黙ってジュースを飲んだことがあったわよね」
「あ、ああ……そういえば、あったような……」
「確か、あの時に飲んだのはコーラだったけど」
「そうだったか? てか、お前、よくそんなことまで憶えてるな」
「だって、あのとき私は炭酸が苦手だったから……」
「そうだったのか? なら、ハッキリそう言えよ」
「たぶん、言ったと思う……。でも、あなたがどうしてもコーラが飲みたいって言ったから」
「……ホント、よく憶えてるな、そんなこと」
「忘れない。あなたとの……大切な思い出だから」
え? と俺は傍らの怜奈を見る。すると、怜奈はにこりと穏やかに微笑んでいた。
どうしたんだろう。さっきまでは何かに悩んで、あまり話もしたくないという様子だったのに、急に打って変わってよく喋るし表情も明るくなった。コーンポタージュには、これほどまでに人の心を温める効果があるというのか?
というか、この空気……。もしかして、今は相談というよりも告白の流れなんじゃないか? 思えば怜奈の笑顔は、『いつでもどうぞ』と言っているようにも見える。
ハッとする。
もしかして怜奈は、俺が告白をしようとしていることを察知して、それでどこか逃げるようなそぶりをしていたのかもしれない。そして今は、告白を受け止める心の準備ができたことを俺に示してくれているのかもしれない。
どうする? この勢いに乗って告白をしてみるか?
Which would you choose?
Yes. / No.
Yes:⑭へ。
No:⑬へ。
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