科捜研の女 劇場版 ー2022.8.5.
監督:兼崎涼介
「破天荒なようで理詰めの安定感」
実は最後まで犯人が分からなかった。
何となく気付いていたら見てしまっているTVシリーズも同じくだ。
20年も続いているなら主人公マリコのキャラが徐々に過激化してゆくのは仕方なしとして、そちらへ逃げることなく最後まで楽しめるのは、サスペンスとしての造りがしっかりしているためなのだろう。
つまりキャラは破天荒でも、筋書きはかなりの理詰め。
テレビドラマの映画版において、気合を入れ過ぎて変な方向にスベる場合も多々見受けるが、本作はその点、本当に映画版としてパワーアップ。見栄えもし、成功している例ではないかと思う。
しかも動機が「情」ではなく、「信念」にあるところが、うまい。
うん、盾鉾対決。
納得です。
これまでの登場人物、総出演での事件解決は圧巻。
ただその旨味が分かるのは、TVシリーズを知る者のみはもったいないか。
それ以上、主人公らの活躍を引き立たせる悪役、佐々木さんの悪役ぶりがまたよかった。
「アキハバラ@DEEP」を観た時も光っていたが、時を越えてなお、である。
今秋、リニューアルで新シリーズスタートの事。
また気づいたら見てるんだろうな。
まさに名作!
あまりゴリゴリの謎解きミステリーは見ない。
直近で見た「ナイヴスアウト」からさかのぼって、いつ見たのかよく思い出せないほどだ。
(サスペンスならよく見るが)
理由としてナニカ、ドコカ、こじつけたような印象を受ける事が多いことと、そのせいで見終わったあと、事件の影にいくら壮大な人間ドラマが隠されていようとも空々しく感じてしまうからだと振り返っている。
これ、殺人トリックが文字通りトリッキーであればあるほど、凝れば凝るほど、そう感じてしまうのだから作り手に申し訳ない限りである。
この塩梅をうまく整えてくれるものがあるとすれば、
あまりリアルに作り込み過ぎない、
だろうか。
コメディー調であるとか、真逆に劇画を極めるとか。現代劇ながらファンタジーめいた部分がある方がいい。
いかにもリアル、リアリティーあふれるを追求し過ぎると、
身の周りと比較して、どうしてもンなわけないだろ、と目が覚めてしまうのである。
起きるはずもないことが起きた。
そこをウリにする限り、やはり現実からは数ミリ、ズレた世界線の方がいい。
トリックという緻密な演出がキモとなるため、つい作り手はクソ真面目にのめり込んでしまうのではと察するが、「起きるはずもないこと」を現実に馴染ませるためには控えていくらも客観的にがキモであると考えるのである。
そういう点で本作の、肩の力を抜いた、時にハズす余裕は絶妙だ。
長年、好かれる秘訣もここにあるのだろうなと感じて止まない。
し、受け取り手としてはそれくらいが好みである。
まあ、残念ながらコロナ真っただ中での公開により、集客はイマイチだったようだが。こればかりは時の運だと思う。
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