精神の秘めた力

 俺は精神統一の時間をどれだけ過ごしたの

か、もう何日もこうしている様な気がしてい

た。


『其れでは、ゆっくりを目を開けて下さい』


 成山さんの声が遠くから聞こえて来た。ゆっ

くり目を開けると、同じ風景なはずなのに物

凄く清らかなとても気持ちが良かった。これ

が精神統一なのか…にしても体が強張り、上

手く動かせない感じだ。


『そのままゆっくりと足を伸ばし、軽くスト

レッチをし身体をほぐして下さい』


『イタタタッ!アハハ…よっ…さっ…よし!

身体の血液が身体中に回る様な感覚ですね』


『スバルや、無理もない。3日間座禅してお

ったからなぁ』


『みっ…3日間?えっ…うそっ…えっ!でも

腹減ってないし、そうだよ…だよなぁ?』


『そうじゃろうなぁ。この蔵全体が時空空間

で出来ておるから、時が止まっておるのじゃ

よ』


『そっそうなんだね…ハハハッ!すげーすげ

ーよ、ばあちゃん。じゃーばあちゃん家に来

てまだ3時間しか経ってないのかぁ。蔵に入っ

てから0分かぁーマジ感動』


『其れでは1時間後にまた3日間の修行を行

います。準備が出来たら声を掛けて下さい』


『分かりました』


 俺は蔵に置いてある物を見て時間を過ごし

ていた。その時だ!俺が目にした大きな地球

儀に…こっこれは…うっ宇宙儀?銀河儀?そ

れはとにかくデカくて丸いプラネタリウムの

様だった。


『おっ見つけたのー。これは銀河全域が確認

できる様になっておる。しかも直でなぁ』


『直って?ダイレクトにって事かぁ?』


『それに近づいて覗いてご覧!』


『うん!』

『わっ流星が花火のように。うわーっマジ感

動』


『それを指と指とで広げてご覧!』


『かっ拡大した!いやーまるでスマホみたい

だね。ばあちゃん』


『スマ?スマホ?おー携帯電話じゃったな!

歳をとると時代について行くのが大変なんじゃ

よ…ハハハ!』


 俺は思った。ばあちゃん…あんたのして来

た事の方が世間はついて来れないと…。

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