気になる腕時計

 どれくらい寝ていたのだろう。頭がぼんや

りする。寝汗もかいてるし、俺はやな夢を見

たような気がした。恐ろしい怪物とバトルし

ていた夢だ。どうやら取扱説明書に書いてあ

った装置と幸運が脳裏に残っていたのか。

 それにしても気になる。俺はそもそも異世

界が好きな方だ。ヒーロー物は好んで読んで

いたからだ。ヒーローの様にあのカッコいい

出で立ちでか、平和を守る奴だよなぁ。俺は

そう想像し顔が歪んだ。

 よし、やってみるか。腕時計を身につけて、

ちょっと待てよ。らしいカッコした方がいい

なぁ。

 大体こんな感じかぁ…。

俺は髪を整えて、今お気に入りの服に着替え

た。

 それじゃー。行きますかぁー。誰に言って

んだ。俺…。

 画面を3秒間長押しして…後はオン、オン

だな…オン……ちょっと待った。はぁー、

はぁー、息が…緊張するなぁー。そうだ。

取扱説明書に書いてあった覚悟決めてっと。

俺は座禅をし心を無にしてみた。よし、そ

れでは後はオンするだけ…。

俺はオンを押した。

 押したと同時に周りの景色が変わり、真っ

白い空間が見えた。ここが異世界なのか?

その時、画面の様な透き通ったものが喋っ

た。


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