第67話 ねむたい努力

 私は、すぐに病院に戻った。

 無性に眠たかった。考えても仕方がないことばかり、頭を過った。

 あの葬儀の席で、私は一体どのように映っていたのだろう、とか。

 今はそれどころじゃない。一刻も早く、肩を治さなくてはいけないのだ。

 もしかしたら来シーズンには、このケガを笑い話にできるかもしれない。


 医者は、徹底的に握力を鍛えろと命令した。

 ソフト・テニスのボールを四六時中握っていた。肩を労わるのではなく、いじめ抜いて筋力をつけなくてはいけないそうだ。

 プッシュ・アップもやった。

 電気や針の治療もやった。

 リハビリが少しずつだが、生活に馴染んできた。成果は感じられなかった。

 気付いたらもう九月を迎えていた。

 焦りは募るばかりだ。

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