MAGIC・10 ツキノチカラ

前章のあらすじ

美夜子と典牧青年は、山林にある洋館を訪れている。

ここは宮本早苗が消息を消した場所であり、さらには美夜子の父親の別宅であった。

典牧青年は合鍵を取り出す。

なにかあった時のために、と志木島所長から預かっていたものだ。

美夜子は怪しみ、不安に思う。

個人宅の鍵を部下に渡すなど。なにかあった時とは、一体なにを想定していたというのか。


結局、合鍵は不要だった。

扉は施錠されておらず、簡単に開いてしまったのだ。


洋館の中に入る美夜子たち。

そこでまた、白銀の人型女性に襲われて、美夜子は変身、三度目の戦いが始まった。

美夜子は劣勢であったが、現れた早苗が加勢して、二人掛かりで撃退する。


早苗の行方を探して洋館へと訪れた美夜子たちであるが、こうして簡単に合流を果たすこととなった。

美夜子は心配させたことを怒り、ことの説明を早苗に求める。

夕刻の住宅街での戦いで、美夜子は白銀の腕をもぎ取って研究所へと持ち帰った。その腕から、本体へと通信を取ろうとする弱い魔道波を感知した早苗は、消えてしまう前にと慌てて魔道波を追ってここまで来たのである。敵の情報が掴めるのではないか、と。

辿り着いたらこの洋館。白銀の敵に襲撃されて、一人じゃ勝てないため発信源をすべて切って索敵されないようにして隠れていたのだ。


早苗の行方不明問題が解決したため、残るは志木島博士の行方不明問題。

ここは志木島邸であり、美夜子たちは手掛かりを求めて探索することになる。

床に埃の積もりに積もった中、薄く残った足跡を追う。

志木島博士がよく歩く道筋と考えられるからだ。

三人は階段を降りて、地下室へ。

暗がりを進むうち、美夜子の様子がおかしくなって行く。

妙にテンションが高くなったり、早苗の言葉に執拗に食い付いたり。

美夜子にとって、早苗の心配が不要になったら、残るは父と自分のことなのだ。進む先の部屋でなにが待っているのか、父になにがあり行方をくらましたのか、それは自分にも大いに関わることではないのか。そうした不安により、おかしくなってしまっていたのだ。


足跡を追って、三人は地下室の書斎に辿り着いた。

机には、ハードカバーの日記帳が置かれている。

日記帳の上には、一言書かれたメモ紙が乗っている。


「美夜子たちへ」


たちと書かれているため、早苗と典牧青年と一緒に日記帳を手にして読んでいく。

そこに書かれているのは、あまりにもおぞましい事実であった。

あまりにも悲しい真実であった。


こんなこと知らない方がよかった。


美夜子は狂ったように頭をかかえ、衝撃の事実に震えるのだった。

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