白銀
宵待草
白銀
走っている。
—――……ただ、走っていた。
一つのことを想い続け、ただただ走っているだけ。
約束の場所には、君はもう来ていた。
急に足を止めたせいか、また滑りかけたので慌てて踏みとどまる。
「良かった、来てくれた」
君は、一面銀世界の中で、いつものようにふわりと微笑んだ。
「そりゃあ、来るよ」
—――……君のためなら。
「……お願いが、あるんだけど」
足元の雪に目を落とし、押し殺したような声を出す君。
この寒さからか、はたまた恥じらいからか、君の頬は赤く染まっている。
「一緒に—――……」
君は僕の耳元に口を寄せ、ゆっくりと
その、耳に慣れた心地よい声を聞き、僕の目が見開かれていく。
一緒に、死んでくれない?
勢いよく顔を上げて君を見つめる。
白銀 宵待草 @tukimisou_suzune
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