第2話 隣人

「ピンポーン」

 インターホンが鳴った。

 八神は昨晩、推していたVtuber桜風翼が結婚報告をして、絶望的な気持ちになり、泣き叫んでいたら、いつの間にかベッドの上で寝ていた。そして、今インターホンが鳴り、目を覚ましたが、ドアまで行く気にならない。

『どうせ、新聞とかの勧誘だろう。めんどくさいから無視無視、居留守しよう。』

八神は適当な理由を付けて、ベッドから起き上がらずに、スマホで『桜風翼 結婚』で調べた。

「ピンポーン」

居留守をしていたが、2回目のインターホンが鳴る。

そして、2回目のインターホンが鳴って10秒が経つと、3回目のインターホンが鳴ったと思ったら、4回目、5回目、6回目とインターホンが連続して鳴らされる。

「ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン...」

『どんだけ鳴らすんだよ。ノイローゼになるわ!』

八神は無限にインターホンの音が続くと思い、ベッドから起き上がり、ドアに向かった。

「ハイハイハイ。どちら様ですか」

八神はドアを開けながら言った。


そこには一人の制服を着た女子高生が立っていた。その女子高生はツインテールで、顔は可愛いが、八神の事を殺すような視線で睨み、八神に向けて口を開いた。

「殺すわよ」

ツインテール女子高生は言葉と視線が合っていて、本当に殺されると思うほどの殺意があった。

『え?ナニコレ。新手の勧誘?それともまじで殺される?俺何も悪いことしていないし、このツインテールの女子高生自体知らない。どこかの殺し屋とかなのかな?殺されるなら、親孝行とかしとくべきだったな~。お母さん、お父さん親孝行できなくてごめんなさい。俺はこれから、このツインテール殺し屋女子高生に殺されます...』

八神は心の中で殺される覚悟を決めた。

八神が殺される覚悟を決めた瞬間にツインテール女子高生がまた口を開いた。

「あんた、夜中うるさすぎる!なんで夜中に大声で叫んでんのよ。隣人がいること知ってるでしょ。あんたのせいで私は寝不足よ。どう落とし前つけてくれるのよ。」

どうやら、八神が昨晩Vtuber桜風翼の結婚報告を聞いて、泣き叫んでいたことについての、クレームらしい。そして、このツインテール女子高生は隣人らしい。

「すみませんでした。昨晩はショッキングなことがあって泣き叫んでしまいました。君に多大な迷惑をかけてしまったことは、すごく反省しています。なんでもするので許してください。」

八神は隣人トラブルとかはめんどくさいので、本気で謝った。

その瞬間、ツインテール女子高生は、にやりと笑った。

「あんた、なんでもするって言ったわね」

「殺すのだけは勘弁してください」

「殺す?何を言ってるの?ちょっとお願いしたいことがあるのよ」

「殺されないのか、良かった。俺にできることなら、なんでもやります」

殺されないなら、なんでもやってやるぞ!という気持ちで八神はツインテール女子高生のお願いを受けることにした。





八神はこの時お願いを受けたことを今後後悔するということはまだ知る由もない。




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彼女いない歴25年のサラリーマンが本気で恋愛をする話 増田ユウキ @masuda-yuuki

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