【一章終了時点版設定資料集】遡行彼女世界ガイドブック

 要望があったので、ある程度情報を削ったものを置いておきます。

 後でしれっと変更しているかもしれません。

 本編をまだ読んでいない人に対してはネタバレになるため、先に読むことを推奨しません。











【年表】

 ※物語の進行によって歴史改変で書き換えられる可能性があります

 ※この時点で明らかにして問題のない事実だけが記載されています

 ※現在はあまり開示されていないかもしれません


■旧歴

 旧暦???年 魔獣時代の始まり


■神王歴


 神王歴1年   神王ムンジによる神聖王国イアンの建国 神王歴の始まり


 神王歴243年  神聖王国イアン10代目国王、1762人の英雄と最後の神々と共に魔獣との最終戦争へ


 神王歴253年  魔獣皇討伐 魔獣時代終焉 魔導の時代に入る


 神王歴1495年 アオア誕生


 神王歴1508年 魔導時代終焉 魔導大国ゾーエ崩壊 魔剣の時代に入る


 神王歴1511年 ルビーハヤブサ、食用乱獲と落石によって絶滅


 神王歴1632年 通称・魔剣戦国時代に突入


 神王歴1999年 黒龍アンゴ・ルモア、ハンティングの流行で絶滅 魔王ズキシ誕生


 神王歴2000年 魔剣時代終焉 魔王ズキシ、魔剣帝国を滅亡させる 魔王の時代に入る


 神王歴2210年 魔王ズキシが世界の半分以上の支配に到達


 神王歴2473年 ジャクゴ誕生


 神王歴2477年 ロボトの書類上の誕生日


 神王歴2478年 ヒバカ誕生


 神王歴2479年 キタ誕生 ダネカ誕生


 神王歴2481年 カイニ誕生 チョウ誕生


 神王歴2487年 カイニ、世界を救う旅に出る。キタ、カイニの助けになるべく旅に出る


 神王歴2488年 キタとダネカ出会う。二人だけの『明日への靴』、結成


 神王歴2489年 カイニ、アオアの薫陶を受ける


 神王歴2490年 チョウ、買われる。『明日への靴』三人に


 神王歴2491年 魔王軍との戦いが激化。アオア、ヒバカ、『明日への靴』に参加


 神王歴2492年 ロボト、『明日への靴』に参加


 神王歴2493年 カイニ、初めて魔王軍幹部を討伐。当時12歳


 神王歴2494年 ジャクゴ、『明日への靴』に参加


 神王歴2495年 カイニと勇者PT、魔王領に突入。最後の戦いへ


 神王歴2496年 『明日への靴』、S級に昇格


 神王歴2497年 現在 魔王ズキシ討伐 魔王時代終焉 次なる時代へ






▼【登場人物】

 ※冒険者査定は『戦闘依頼を中心として、様々な依頼を自力で達成する能力がどの程度高いか』

 ※王国公認査定は『戦場においてどれだけの戦力として期待できるか』

 ※査定があると身分証明書が発行できるので役所などで楽。運転免許証みたいなもの


▼【主人公】


■刻の勇者(真) キタ

 身長179cm

 冒険者査定:B-

 好きなもの:平和、幸福、頑張っている人、地方の民族料理

 嫌いなもの:苦しんでいる人への追い打ち、無知ゆえ傷付ける言葉、努力が報われないこと


■刻の勇者(偽) カイニ

 身長162cm

 冒険者査定:無し

 好きなもの:キタ、未来、希望、なぞなぞ、麺類

 嫌いなもの:運命、悲劇、喪失、苦い野菜




▼【S級冒険者PT『明日への靴』】


■黄金の戦士 ダネカ

 身長181cm

 冒険者査定:S

 好きなもの:キタ、チョウ、夢、鶏肉料理全般

 嫌いなもの:キタ、劣等感、行き詰まり


■銀麗奴隷 チョウ

 身長149cm

 冒険者査定:S+

 好きなもの:キタ(恋愛)、ダネカ(尊敬)、アオア(信頼)、根菜

 嫌いなもの:デッドリーアイズ、呪い、不和、仲間の喧嘩


■夢追いの青エルフ アオア

 身長135cm

 冒険者査定:S+

 好きなもの:運命、■■■■■■■■

 嫌いなもの:魔剣、■■■■■■■■


■紅染の僧侶 ヒバカ

 身長165cm

 冒険者査定:A

 好きなもの:キタ、殺人、返り血、苦い肝臓

 嫌いなもの:■■■■■■■■


■闇黒の盗賊 ロボト

 身長192cm

 冒険者査定:S

 好きなもの:■■■■■■■■

 嫌いなもの:善人、■■■■■■■■


■緑の商人 ジャクゴ

 身長172cm

 冒険者査定:B

 好きなもの:■■■■■■■■

 嫌いなもの:父親、■■■■■■■■




▼【勇者PT『カイニ一行』】


■慈悲の杖 カエイ

 身長167cm

 王国公認査定:A

 好きなもの:ネサク、ネサクとの思い出、穏やかな日々、ひなたぼっこ

 嫌いなもの:戦争、喧嘩、傷、血、死


■伝説の残照 キアラ

 身長186cm

 王国公認査定:S+

 好きなもの:イキのいい若者、新しい技術、新しい商品、新しい時代

 嫌いなもの:若いやつが自分より先に死ぬこと


■人間要塞 コロカ

 身長187cm

 王国公認査定:S

 好きなもの:カイニ、巨乳、白髪美少女、戦友、スパイスの効いた料理

 嫌いなもの:風呂、水浴び、顔を洗うこと






【用語大辞典】

 ※まだ多くが開示されていません



▼勇者

 『刻の勇者』の現代における呼称。

 一般的には、魔王などを倒して世界に平和をもたらす救世主。

 されどその実態は、怨念が生んだ絶滅存在ヴィミラニエ、時間操作の力を持つ魔王、時間に干渉できてしまう古代文明の遺産を悪用した空前絶後の大悪人を倒し、時の配列を守る時の守護者である。

 その証として、力の発現である冒険の書を与えられている。

 時代によって変動する価値観や、世界ごとに異なる倫理観などを基準とせず、天上に座す光の女神が『これが勇者の心である』と定義した心を持つものが、生まれた瞬間に勇者に選ばれる仕組みになっている。


▼聖剣

 伝説の中に語られるもの。

 鍔に宝玉と羽の意匠を持ち、蒼いラインの入った、片刃の銀剣。

 その情報は教会の特別な部門によって統制されており、一般人にはほとんど知られていない。


▼光の神。

 光の女神、とも。

 元は光の神という最上位の位階に相応しい神ではなかったが、他の神々が全て魔獣時代の魔獣に食い殺されたため、消去法で光の神として主神格の席に座らなければならなくなった。

 聖霊教会の信仰対象。

 光の神と呼ばれる前は、『銀色の夜明け』という神号を持っていた。






▼神聖王国イアン

 この作品の基本的な舞台。

 大陸の中央部に位置し、世界最古の国家にも数えられる。

 『古くから残っている国家には伝統があるから素晴らしい』ではなく、『こんな国家がポンポン滅びる世界で長生きしてる国家はそれだけで凄い』という意味合いで、他国からの信頼と尊敬を受けている。

 つまり、戦争と殴り合いにとびっきり強い。

 国家として有利な特徴として、平地が多いく農業に強いこと、多様な野生動物が生息していること、複数の大鉱山で鉱物資源に困ったことがないこと、最も多くの不凍港を保有していること、魔族領からそれなりに遠いことなどが挙げられる。

 何百年戦争を続けても経済が中々疲弊しない、強靭な生産力が持ち味とも言える。

 『美人が多い国家総選挙』五年連続二位。


▼錬鉄帝国ワチカハ

 王国の南西にある国。

 奴隷制が合法であり、戦争においても買い上げた奴隷を投入したりしている。

 ただその奴隷制の采配をミスしたせいで、過去に何度か国際問題を起こしている。

 主力産業は奴隷業と加工業で、イアンから仕入れた鉱物をインゴット化して他国に売り捌き、その代金でイアンから鉱物を購入し、出来た利益でイアンから食料を購入し……というサイクルを繰り返している。

 『美人が多い国家総選挙』で六位以上になったことはない。


▼聖霊教会

 ボランタス、とも。

 魔導の時代に組織として確立したが、その前身は魔獣時代にあったとも言われる。

 『信仰のために作られた』のではなく、『何かの敵と戦う勇者の後方支援のために作られた』とも噂され、『勇者を支援するために光の神への信仰を捏造して民衆をコントロールしている』とまことしやかに語られることもある。

 世界中に信者を増やすのではなく、各国の経済に対する影響力を維持することで、経済的に他国を動かすというスタイルを選択した、実利の教会とも評される。

 各国に協調を求め、対魔王軍の音頭を取っているのはここ。

 ネバカが忍び込んだのは教皇領の教皇私室で、黒龍アンゴ・ルモアの公的な仕事場は『聖地』の聖剣情報統制管理局。






▼魔法

 魔導とも。

 魔法、魔導というのは、魔導時代とそれ以後に生まれた言語による呼称時のニュアンスの食い違いによるもので、微妙に混ざったり混ざらなかったりする。「マック」「マクド」のそれに微妙に近い。

 『奇跡』と扱われることはほぼない。

 『法則』として扱われるがために魔法。

 「特定の状況で特定の発動を行った場合必ず同じ結果が生まれる」という定義をもって魔法とする。

 そのため、大枠では科学に近い。


 宇宙に存在する四つの力を捻じ曲げる巨大な力ではあるが、本質的には、


『観測することで対象の状態が変化するのが量子』

『で、あれば、観測を行う精神には法則を超越した力が存在する』

『この精神における特殊な【観測力】を持つことを【魔力を持つ】と呼ぶ』

『【観測力】を行使しすぎた結果精神が疲弊して魔法が使えなくなることを【魔力が尽きる】と呼ぶ』

『他人が大気中に拡散させた【観測力】を集めて行使することを【魔力を集める】と呼ぶ』

『【観測力】は【観測力】が高い者同士の交配を続けることで、世代交代のたびに【観測力】の高い個体が生まれる可能性が高まる』


 など理外の論理を、現実を歪めるほど現実的に成したものであるため、例外を除いてほとんどの魔法は計算と推定を外れることはなく、法則の外側へと踏み出さない。

 よって、奇跡を起こすことはない。


■魔導公害

 魔法が都合のいい奇跡ではないために生まれるもの。

 魔法は『大体なんでも都合よく解決するもの』ではない。

 どこまで行っても『既存物理法則を超えてエネルギーを出せるもの』である。

 そのため、魔法が無い世界よりも深刻な被害が生まれる可能性が存在する。


 大魔法による都市開拓事業で山を吹き飛ばしたことにより、発生する大規模な環境への悪影響。

 魔法の仕組みを利用して作られた魔導列車の廃棄煙による鳥類への実害。

 降雨魔法の使いすぎによる天候不順、及び異常気象。

 医療品大量生産のために発動された、土壌からの特定分子回収魔法による、土壌成分の偏りと植物の死滅。

 寒冷地帯における絶え間ない炎魔法の大規模行使継続、及びそれが引き起こした平均気温の上昇と、氷点下に適応した野生生物達の高体温症による絶滅。


 絶滅存在ヴィミラニエはそれらを原因として絶滅したものも多い。

 しかしこれらの発生と引き換えに得たものにより、年間の餓死者数・病死者数・凍死者数などが抑制されている、という側面も存在する。






▼絶滅種

 絶滅した種族。

 『最後の一匹が死に絶え絶滅した瞬間』を、怨念の楔として歴史に打ち込み、時間の狭間で怨念の渦の中を揺蕩っている。


絶滅存在ヴィミラニエ

 絶滅種の怨念から発生したもの。人類を恨むもの。人類の罪。人類の悪なる歴史そのもの。本来は時間改変によって人類に敵対するだけの時間超越種でしかないが、魔王ズキシを利用・協力することで、魔王ズキシの最終的な勝利を確定させると同時に、人類の絶滅をもたらしている。

 『人類が憎い』も大きいが、その本質は『滅びたくない』。

 ゆえに、人類に対する憎しみが全てではない。

 時には、何かを失った悲しみに侵される宿主に同情することもあるだろう。

 それぞれが何かの形で、自分達の種を絶滅させた原因を能力として持っている。


■宿主

 絶滅存在ヴィミラニエと誓約を結んだ者。

 『狂おしいほどの後悔』を持つことが第一条件。

 その人間をよく観察した上で宿主に選ぶ絶滅存在ヴィミラニエ、適当に選ぶ絶滅存在ヴィミラニエ、絶滅の原因に関わる一つの条件さえ満たしていれば即決の絶滅存在ヴィミラニエなど、種族によって選び方は多種多様。

 傾向としては鳥類などはしっかりと宿主を選ぶ傾向があり、逆に水棲生物は適当に選ぶ傾向がある。

  

絶滅存在ヴィミラニエの能力系統

 絶滅存在ヴィミラニエの能力には、四つの系統が存在する。


●『破壊』

 自然破壊や乱獲など。

 人類の物理的な破壊によるものが多い。

 攻撃能力が発現しやすい。


●『汚染』

 汚染物質の拡散や、河川への土砂流入混濁など。

 人類の文明発達の副産物であることが多い。

 毒や空間汚染など、変化球の能力が発現しやすい。


●『天敵』

 過度の肉食動物の持ち込みや、魔法の副産物による捕食者の異常強化など。

 人類が原因で起こった生態系の変化であることが多い。

 天敵が何故その生物の天敵であるか、という理屈を転じさせたものが多い。


・『変化』

 外来近隣種の交配、生息環境の不可逆変化、魔導波への過敏反応による生殖機能障害の誘引など。

 上記三つに含まれない特殊系。

 絶滅原因の特殊さから内包する種別が多様で、能力を推測することが困難であることが、逆に固有の特徴になっている。






▼人類

 大体人型で知性があって人間と仲が悪くない種族はここに分類される。

 昔は人間と敵対した人型知的生命体の一種が人類分類を剥奪されたこともあった。


▼魔族

 『時を操る力に目覚めるかもしれない』、人類に敵対的な生命体。


▼魔獣

 この世界に神より先にいた獣とその子孫。


▼魔物

 昔魔王が生み出した多種多様な生物とその子孫。


▼魔物、魔獣、魔族、魔王

 ここではないどこかの世界ではかつて、『携帯電話』を略して皆『携帯』と呼び、それでバッチリ通じていたという。

 客観的に見ると「わけわかんねえだろそれじゃあよお!」となる案件であるが、『そうなっている』のだからしょうがない。

 似た事例が、この世界にも存在した。


 魔族。

 魔獣。

 魔物。

 この辺りの言葉を正確な意味で使っている人間は、あまり居ない。


 まず、学術的な側面から定義を確認する。

 学者によれば、それぞれの言葉の定義はこうだ。

 魔族は、『知性があり種の95%以上が人類全体に敵対的な人型生物、あるいはその近似種』。

 魔獣は、『魔獣時代以前からこの世界に存在する獣型生物とその子孫』。

 魔物は、『かつて魔王が生み出した魔導生物とその子孫』。

 なるほど分かりやすい。


 では王都一般人の用法で定義を確認してみよう。

 魔族は、『魔獣とか魔物とか人型のやつとか全部。魔王に従ってる奴ら』。

 魔獣は、『獣っぽい魔物の類全部、強すぎる野生動物含む』。

 魔物は、『なんか人間に敵対してる魔物っぽいもの全部』。

 だいぶ雲行きが怪しくなってきた。


 キタ達が生まれたような、辺境の村だとどうだろうか。

 魔族は、『なんか前線で暴れてるらしい強そうで悪そうなやつら』。

 魔獣は、『農作物を食い荒らすやたら強い獣』。

 魔物は、『農作物を食い荒らす獣っぽくないモンスター大体全部』。

 これが田舎者である。


 1000年生きてる間に同じ言葉の意味が変わりまくるので、1000年以上を生きるような長命種は困ってしまうのである。


 ゴブリンは学者に魔族と呼ばれない。

 学者はゴブリンに知性を認めていないからだ。

 よって、学者はゴブリンを魔物と定義する。

 過激な学者は人と仲が悪いだけの知性持つ種族にも知性を認めないことがある。


 王都一般人は魔王が生み出した後に地域に定着した魔熊を魔獣と思っている。

 が、冒険者ギルドにはただの獣として討伐依頼を出す。

 そして後でしれっととぼける。

 魔獣討伐依頼より野生動物駆除依頼の方が依頼料が低くなるからである。

 そういう姑息な大人を見て、子供もそういう風に呼ぶようになっていく。


 辺境の村、田舎の村だと、もはや依頼がトンチンカンに成り果てる。

 強い方の田舎者は野生の猪も魔獣の猪もまとめて殺して鍋にしており、特に悪意なく見分けがつかないからである。

 辺境ではそういう魔獣が『美味い方の猪』と呼称されていることもあるため、魔獣討伐数を記録している街のギルド職員は、『今月は何頭くらい美味しかったですか?』と聞いて回って記録している。




 魔獣という総体は絶滅しなかった。

 魔獣時代が終わっても。

 魔導時代が終わっても。

 魔剣時代が終わっても。

 魔王時代が終わっても。

 人は絶滅させられなかった。

 人類はまだ勝っていない。

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