最終話
「つまり日本人は、中津國の人間となり得るか否かである」
今上帝の御心が伝えられた。
つまり今上帝は、日本人を中津國の人間として迎え入れようと、御考えになられているという事で、これから此処に馴染んだ日本人達は、新たに迎える日本人達のこれからを、考え迎え入れなくてはならないという事だ。
近代国家として歩み続けた日本人が、その道を違えた国に馴染めるだろうか?
…………マジで?とてもできるとは思えない………
だけどそれをやれる様に、佐藤達は考えていかなくてはいけないらしい………
それから暫くして、上級貴族の公卿とかいうお偉方が、帝のプライベートスペースである殿舎の御前に集まって、任命の審議とか評定が始まった。
任命は官位が低いものから始まって、日を追って高官になるそうだ。
どっちみち日本人枠は特別枠だから、審議とか評定とかが済んだ所で、今上帝のお側に置かれる日本人は今上帝の意思で決められる。
とろこが意外と〝客人〟って此処に来ていて、そして本当に日本人ばかりではない。
そして意外にも、高官となっている者もいる。と言っても、その人達って今上帝より以前の帝の時代の人達だ。
そうやって此処の帝達は、〝客人〟達に好意的であった様だから、今上帝の代に呼ばれた感の大きい日本人にも、そんなに変な偏見を持ってはいない様で、いろんな部署に日本人が配属されている………って、此処で初めて佐藤は気がついた……というか疑問を持った。
…………一体今上帝って何歳なんだ?…………
それこそ知らぬが仏の様な気がする………。
という事で、今回新たに職という格式高い部署名の所に、日本職とかそんな感じの官司が、今上帝御自らの御言葉で伝えられた。
その内容については極秘とされたから、お偉いさん達には、今上帝の〝客人贔屓〟という感じで捉えられている様だ。
…………本当は物凄い事、しようとしてるんですけど………的な日本人召喚者達の気持ちなんて、きっと知る気もないだろうけど………。
時は経って春………。
職場には日本人達が集められたけど、思ったほど居ない、が実感だった。
かなり此処に馴染んでたり、上司に気に入られている日本人は、他の部署で働いているらしい。
「まっ、いろんな部署にいた方が、先々役に立つしさ……」
と
まっ佐藤達は、〝部長〟とか呼んだりもするけど………。
「日本人会なんてのもあるから………」
「えっ初耳っす」
「いやいや………此処に馴染むのが大事だからさ………余り表立って集まってないんだ。だが結束は固いからな、いざとなれば助けてくれる」
…………郷に入っては郷に従え…………
日本の素晴らしいことわざで、それを難無くヤレるのが日本人だ。
だから今上帝に、柔軟で優秀だと褒められた。
だから、凄く此処に馴染んでいる人達が多いのだろう。
そしてそういう日本人だから、今上帝は日本人丸々生き物丸々を、此処に受け入れる事を考えたのだ。
そんな訳で、これから少しずつ忙しくなりそうな佐藤だけど、とにかくゆったりのんびりとした中津國だから、佐藤も郷に入ってのんびりと過ごす事になりそうだ。
召喚日本人佐藤…………終…………
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