第90話
「百人一首だなんて………宮部さん、奥さんに作って渡したんすか?」
「そんなの書ける訳ないだろ?」
「そうすよねー」
ちょっと、胸をなでおろす佐藤だ。
〝ちはやふる〟だって、日本で騒がれていた作品で、使われていたから知っているだけで、それしか知らないし、五七五七七だっけ?どうだっけ?の世界だ。
何でそんな時代を遺してんだ!!とか考えていると
「そうじゃなくて………貴族の恋愛はそこから始まって、女性から返事が来て、お互いを知って行くんだが、貴族のお嬢様は他家の男に顔を見せないから、付き合うって事はないんだ」
と宮部は言った。
「いや………付き合っている間が、文の遣り取りなのかな?とにかくそれで、女性がいい返事を出すと、女性の家に忍び込む様にして逢瀬を繰り返して結婚に至る。大体男は、そこの女性の評判とかを聞いて歌を送るし、その家の下働きの男とかに賄賂を渡して、こっそり覗き見たりするんだが、女性はその時初めて男の顔を見た………なんて事も多々とあるらしい。で此処は通い婚とかいう、男が女性の家に通って結婚する形を取るから、男が飽きたりして通わなくなったら、それで終わり………みたいなのも多いらしい」
「えっ?結婚してるのに?」
「そこが……本妻との違いなんだ。大体良家の本妻はいずれ男が出世すると、男の屋敷に一緒に住むとか、本妻の父親が屋敷を与えて同居させて、世間的に本妻とみなさせたりするから、身分の低い親の娘は捨てられても、泣き寝入りになるんだ」
「マジすか?」
「話しが逸れたけど、貴族は貴族と結婚するから、貴族のお嬢様は顔を晒さないから、まずデートはないな」
「………じゃ、貴族じゃない平民は?どうしてるんす?」
「そりゃ、やっぱり、少しでも良い所に嫁がせ様とするだろうな。あとは夜這いで既成事実を作っちゃう的な?」
「えーーー!それ酷くないっすか?」
「それでも今上帝の治世になってからは、皇后が鸞という事もあって、一夫一婦が若い世代には定着しているし、平民では恋愛結婚が流行っているらしいから、デートとかあるかもしれないね?」
「皇后が鸞だと、なぜ一夫一婦とか恋愛結婚になるんす?」
「鸞は愛の一族と言われていて、愛情が重要視されるんだ。それにかなりやきもち焼きらしくて、独占欲が強いから、今上帝は皇后しか愛しちゃいけなくて、結婚以来ずっとそうしているから、夫婦円満で御代が平安なんだ。それに憧れて倣う若者が増えるから、最近じゃ恋愛結婚が多くて一夫一婦なんだ」
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