宮中
第37話
牛車が止まった。
宮部に続いて牛車を降りると、物凄く大きな門が在って門番が立っている。
デカ過ぎる門に見惚れていると、牛車は世話係に連れられてガラガラと、何処かに行ってしまった。
「あれ?何処に行くんだろう?」
「ああ……牛車は違う門から入るんだ」
「………門って、此処だけじゃないすか?」
「うん。意外な程にいっぱい在って、使われ方が異なるんだ………。実は牛車って宮中の中には入れないんだけど、特別帝から許された者は、中に在る所定の場所まで入っていい事になってて、〝客人〟はそこまで牛車で入っていい事になってるんだけど、珍しいから歩いて行きたいだろう?」
宮部が門番に何かを指し示すと、門番は頷いて頭を下げた。
物凄く大きくて頑丈そうな、木製の門を見上げながら潜る。
この門って、悠久の歴史を遺す………的な、あの古都の寺院とか文化遺産的な建物で見かける、あの物凄く歴史を思わせるアレに似ている……ってかアレか?アレ。
門の中に入ると、ジャラジャラと小石が敷かれていて、その小石の上を歩いて行く。
「………これ、健康何とかみたいっすね」
佐藤がシューズ越しに、小石の感触を味わいながら言うと
「ああ。不健康な所が痛いってヤツ?」
宮部が、吹き出す様に答えた。
そう言えば宮部は靴を履いているが、佐藤のシューズとは全然違う物で、服装的には日本の着物………とはちょっと違うが、それでも日本的な装いなので、草履を履いているイメージだったが、何だかちょっと違うぽい。
「此処って日本の、何時頃の時代なんです?」
「ん〜?奈良時代とか平安時代……鎌倉時代までかなぁ?」
「その時代の、スタイルなんすね?」
「………だね。その時代迄の影響が大きいが、そこから独自の文化を作っているからね……かなり違っている」
「………何で、その時代までなんすかね?」
「さぁ……?ただ、僕が此処に来てから感じた事なんだが、大地の大神というのは、大地の穢れというものを、えらく嫌うらしいんだ」
「穢れ?」
「うん。それを此処の人達は、生き物の血の穢れとか、死の穢れとかいった、忌み嫌う物に対して言っている様なんだけど………今上帝と話しをする内に、ちょっと違う様に感じ始めた………」
「えっ?此処の人達が、勘違いしてるって事?」
「うん。なんか、違う気がするんだよねぇ……もしかしたら、それは今上帝が違うと思っているから、そう感じるのかもしれない」
「今上帝………」
「………ああ……暫く今上帝の側に置かれて、現在の日本の状況について質問されると思うよ」
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