第19話

「………っと言っても、全く違いますが……?」


「……ああ。日本の文化を模したのは、かなり昔の事の様ですから………それからは、ここ特有の文化を持つ様になり、端っこの方でしか貿易をしていない様になったのです」


 根入さんが言った。


「………じゃ、かなり昔の日本の文化が、残っている部分もあるんすね?」


「ああ、さようでございます。もしかしたら、佐藤様の知らぬ日本の文化を

 、未だ残しておるのやもしれませぬな」


 とか言って、根入さんは笑った。

 そんな話しをしていたら、食事が運ばれて来た。


「えっ?鮑の丸焼きっすか?」


 物凄い肉厚の、鮑が白い皿に乗せられている。


「鮑がお好きな様なので………」


「ええ?こんなに肉厚鮑だったら、最高級品っすよー」


 とか感激していると、大きな海老とか魚介類が、わんさかと運ばれて来て、長いテーブルの上がいっぱいになってしまった。


「………そうそう!佐藤様が疑問をお持ちゆえに、肉も有りますゆえお食べください」


 諸福さんが、ちょっとドヤ顔で皿を指して言った。


「………何の肉すか?もうイモリはいいですよ」


 黒い物体がないか、思わず探してしまう。


「蛙や蛇などもありますが、猪の肉などはいかがでしょう?」


 ………猪かぁ………


 豚みたいなもんだけど、ちょっと臭いとか聞いた事あるけども………。


 あんまり進めてくれたから、渋々箸に取って食べてみたら、全然臭くなくて美味かった。それに大きな海老………たぶん伊勢海老と呼んでるヤツとか肉厚鮑は、申し訳ないが二人の事は構わずに、ばくばく頂いてしまった。

 それって官人である根入さんや諸福さんの、高級趣向かと思いきや、土間の椅子のテーブルで食事をしていた、使用人達も変わらない食事が出されていた様だ。見れば店の客達は、同じ様な料理を食べている。

 これってマジで、食べ物に関しては豊かな国なのだろう。

 そしてどうやら神様が許した物なら、本当に何でも食うらしいし、それがゲテ物食いとかにはならない様だ。ただ神様が許した物って、どんな物なんだろう?

 ちょっと疑問に思いながらも、ここの国の食べ物は、全て佐藤の口には合っている。というか全て美味い。

 野菜の料理も在ったが、物凄く手を加えている感が無いのに、実に美味いのは新鮮だからなのだろう。


「………ではこれから、駅舎に参ります。駅舎に着きましたら、馬を貸し出されますのでお乗りください。この者が馬を引いて参ります」


 根入さんの所の気の利く使用人が、ぺこりと頭を下げたので、佐藤も同じ様に頭を下げた。

 駅舎は、さっき牛車が止まった、大きな建物の事だっだ。

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