その目を捉えて離さない。
たから聖
第1話 その目を捉えて離さない!
『うぁ~~ッッ授業に遅れるぅ~~ッッ』
バタバタバタバタ…………ッッ!
『んもぅ、何でこんな時に……寝ちゃったんだろ~~ッッ!
遅れちゃぁう!!!』
♪~♪♪♪ ♪♪♪
『?! ……?』
(音楽?室?!)
(誰……だろう…… …?)
そろっ。私は音楽室を覗き込む。
『うわぁ!!?』
思わず、声をあげてしまった。
私としたことが。でも、、、でも、、、。
彼のピアノを弾く姿を見ていると……
月から降ってきた天使のようで
その目を捉えて離さなかった。
♢♢♢♢♢♢♢♢
呆然とした私は、
こちらを不思議そうに見つめる……
まるで
なんだ?この女……という感じにも、受け取れる。
わたしっ、わたしの心臓の音が
聞かれちゃう!!
もぅ、ダメ!!
ドックン。ドックン。と脈打つ。
かっ、顔が……??近づいて?!
『あっ。あたしっっ』
『俺の顔に、なんか付いてる?』
『へ?』
ドギマギした心臓は、少しだけ
落ち着いた。
そっか。 …………
知らないのね?役得だわ。ふふふ。
『あたしっっ、あの、ピアノが
素敵で、聞いちゃってごめんなさい。』
私の心臓は、またドキドキし出した。
デコピンしていった。
私は、腰が砕けそうになりながらも、教科書を握りしめていた。
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