大好きって、いわないで。
Adeli
序
好き、という感情がどんなものなのかは、僕にはよくわからない。
学校一美人だという先輩は、確かに憧れの対象ではあった。
学年一頭が良いという同級生の女子は、確かに良きライバルであった。
卓球部一という後輩は、確かにもっと力を伸ばしてやりたかった。
でも、彼女らへの想いは、それ以上でもそれ以下でもなかったのだ。
それでもまだ考え続けていると、なぜか二つ下の幼馴染の
君は単純で能天気バカでうるさくて、太陽みたいに明るかった。色白で血色の良い顔はいつも笑っていた記憶がある。身長はいつの間にか僕を追い越すほど高くなっていて、クラスでも後ろから数えた方が早いらしい。
冬に勝手に入って来て隣で眠る君の穏やかな寝顔。おそらく僕以外の人は知らない寝顔を眺めていると、胸の奥にぽっと灯が点ったような変な気分になった。
いつかこの灯は消さねばならないのだろう。
本当は、もう気づいている。この灯の正体に。
だからこそ何重にも蓋をして、胸の奥の奥の方に封じ込めておかなければならない。
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