第4話 戦闘
「おい、ニッタァ!」
「はい! はいっす!!」
ハルキは骸骨から素早く身を引き後ろに下がると魔銃を構えながら叫んだ。
「先手を取るぞっ!」
「了解っす!! ハルキさん!」
ニッタもそう言うと魔導ライフルを構えた。
二人がほぼ同時に引き金を引くと銃弾が黒い影、法衣を着た白仮面に向かって飛んでいき、それに合わせるようにニッタはさらに二発撃ち込んだ。
その瞬間、ハルキの放った弾丸は闇の中へ消え
キィィィン!
という甲高い音を響かせながら消えた。
「何!?」
ハルキが叫ぶと同時にニッタの撃った弾は、そのまま一直線に飛び、胴体を貫いた。
「やったっす!」
ニッタはガッツポーズをしながら喜ぶと続けてもう一発撃ちこもうとする。
しかし、その瞬間、目の前にいたはずの法衣を着た白仮面は、まるで煙のように霧散して消えてしまった。
?!
次の瞬間、また闇の中から赤い目が光ると白仮面が現れ指先を鉤爪のように伸ばし打ち込んでくる。
キィィィィィィッ!
叫び声をあげるように耳障りな金属音が響くと、ニッタは咄嵯にしゃがみこみ頭上を何かが通過していく気配を感じた。
すぐさま立ち上がりながらニッタは三発目を撃とうとした。
しかしその時には既に、そこにいたはずの白い仮面はいなくなっていた。
どこだ?
どこに……
と周りを見渡すと、すぐ横で低い姿勢のままこちらに銃口を向けるニッタの姿があった。
バシュンッ!
鋭い発射音と共に放たれた銃弾は空中で見えない力に阻まれるように軌道を変え地面に落ちた。
くっそぉ、とニッタが悔しそうにつぶやくと、
ギイイイイイィィィィィッ!
と不気味な鳴き声が響き、今度はハルキの真上からその長い爪を振り下ろしながら襲って来た。
ハルキは振り下ろされた鉤爪をすんでのところで避けると素早く魔銃を構える。
魔銃が青い光に包まれ銃身に集まっていく。
そして、
キィィィイン!
と一際大きく鳴ると、ハルキはトリガーを引いた。
すると青白く輝く光線が一直線に伸びていき一瞬にして白仮面を捉え、その額に大きな穴を開けて貫通した。
グゥオオオオッ!!!
断末魔の悲鳴を上げながら白仮面は消滅し、それと同時に白い仮面が床に落ち、カランという乾いた音を立てた。
ニッタは落ちている白い仮面を拾うとまじまじと見つめるが、特に変わったところのない額の部分を打ち抜かれた仮面だった。
「なんだったんすかね? 今の」
ニッタが息を切らしながら言う。
「知るかよ」
とハルキは仏頂面でつぶやく。
辺りを見渡すと先程までの光景はどこにもなく、暗闇が広がるだけで、ただ静寂だけがその場を支配していた。
「とりあえず戻るぞ」
二人は急いで階段を登り外へ出て入り口の扉に鍵を掛け、ハルキがそう言って歩き出すとニッタもその背中について行った。
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