どんな人生を過ごしたとしても

あらがえゆうらん

生い立ち

 僕は、生まれてすぐに養護施設に入所した。


 僕の両親は、育児や僕に対して無関心だったのか育児放棄、いわゆるネグレクトをしていたのだ。

 もちろんその時の記憶は僕にはなく気が付いたらもう養護施設にいて、僕はそれが当たり前だと思っていた。

 しかし、年齢を重ねるごとに今の状況、養護施設に入所してることについて疑問を持ち始めた。

 そんなある日、僕は思い切って、職員に聴いてみた。

 職員からは親が育てきれないからと言うことだった。

 それに親権はお母さんが持っていてたまに会いに来てくれてた。

 お母さんと会えることが僕は嬉しいかったし幸せだった。

 だけどそんなことは続かなかった。

僕が小学4年生の時から急にパタリと連絡も途絶え、会いに来てくれることもなくなった。

 僕はとても悲しくなったし、心配になって寝れないときもあった。

 それから、ばあちゃんとかに何度も聞いた。なぜお母さんからの連絡がないのかなど質問をしたが誰もわからないと言っていた。

 そして、それからも養護施設で周りの人たちが里親や、家庭復帰をしていく中、自分は高校卒業するまで養護施設にいた。

結局、養護施設には20年もいて、養護施設を卒園してから職場では精神的にきつくなり、病院に入院した。

 それから、退院する際に僕の家族のことに詳しい人からなぜ養護施設なはいり、なぜお母さんが逢いに来てくれなくなったのかも説明された。養護施設に入所する理由は最初に書いていたのだが、お母さんの理由が、実は、一回だけ連絡があったみたい。内容は、海外に行くから縁を切るということだった。しかも卒業式があった日にだ。

 職員は僕にショックを与えないように黙っていたらしい。

 しかし、そんな話をして、悲しかったことは悲しかったのに涙は一切出なかった。

 話を聞き終わって、悲しかったけど、凄く納得ができた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る