勇者予定者なのに神の不手際で勇者候補から外れた少女が、神使のペット猫に導かれて気ままに、のんびり無双してるよ・・・

たかみつ

第1話 輪廻の回遊からはじき出された一つの魂の行方は?

* 輪廻の回遊からはじき出された一つの魂の行方は?


輪廻の世界に送られた汚れた死後玉(魂)は、この輪廻空間で回遊しながら浄化されるうちに、次に行くべき界が決まるのを待ち続けるのだが、浄化の程度に応じて、行き先はほぼ決定されるようだ。

地獄界・餓鬼界・畜生界・修羅界・人間界・天界、のどれかに。

また、玉のレベルによっては、それぞれの界に行けても、命を保てず、霧散して消えてゆくものもあって、どこかで新しく生まれる玉とのバランスが保たれている。


ここはまだ輪廻界、行き先の決まっていない浄化途中の玉が混在している空間、そこに、先刻、どこかの世界で大量虐殺でも起こったのか? 多くの死後玉が送り込まれてきて、それぞれの玉が混雑に巻き込まれながら、回遊し衝突して、互いに反発し合うようになってしまった。そんな中、もう既にほとんどの穢が浄化された一つの玉が、混乱した回遊の波から弾き出されてしまった。


輪廻空間の外は、単なる虚無空間、すべての存在が否定される。だが、たまたま、その時に、天界が接近していたのが幸いだったのか? その弾き出された玉の根源に天界との親和性があったのか? 定かではないが、その弾き出された一つの玉が、天界に、ス〜と吸い込まれて消えていった。


どのくらい時が流れたか?まあ、地球時間ならほんの数日?そんな時間感覚なら、おそらくここ天界では既に100年くらいだろうか?

輪廻空間から弾き出された玉も、更に天界から光を溜め込んで、輝く玉になっていた(成長)のだが、特筆すべきは、「意識」を持つようになっていて、周りの同じ様に意識を持つ輝く玉たちとの会話までできるようになっていたことだろう。


この物語の根源、弾き出された玉、意識を持つようになった玉は、周りからは「リンネ」と呼ばれている。

リンネは、今まで何をしてきたのか?といえば、ほとんど自身では動けないので、ただ、天界を漂っていただけ。ただし、この天界に溢れるあらゆる知識や道理などを常に吸収し続けていたのだ。魔法世界や神域そしてそこに溢れる魔術や神術の知識をも得て、少なからず、両方の術をその小さな玉に取り込むことにも成功していた。


天界に溢れる知識、その中の地球、人間界などの知識に触れることで、自身の前世の記憶を部分的にではあるが取り戻していた。それに照らし合わせて考えることもできて、更に現状の理解が進んだ。

何故、死んだのかの記憶は無いままだが、その後の自身の「玉」としての経歴を知ることができた。


そんなある時に、神の気配? 転生神がフワ〜と現れて、リンネを見て、何か納得した顔になって語りかけてきた。


「リンネ、そろそろ、別の世界へ転生するかい?」

「・・・・」

「聞こえているだろ? 私は転生神、君を他の世界へ転生させることが出来るのだよ?」

と、それから、いろいろ説明してくれた。


もちろん、地球、もとの人間界へは駄目、つまり、天界以外の6界には行けないし、行く必要も無い、できれば、全く別次元の生者の別世界へ行ってみないか?ということだ。

僕は、別に、このままでも良いんだけど、って答えれば、どこだかの別世界、日本では異世界って呼ばれてる場所で「玉」として新しく得た力を使って、面白くやってみないか?ってことだ。天界で溜め込んだ知識や経験、魔術や神術、過去の記憶などもそのまま持っていけるとも言ってくれる。


異世界って、日本のマニアの言うところの、剣と魔法、魔物の世界で、勇者や魔族、神がいる世界?・・ってことか?

僕に、何か得なことはあるのかな?って思っていたら、神が説明してくれたよ。

最初は、いわゆる転生者に与えられるスキル、「転移」「収納」「鑑定」が与えられる。ただし、「神の加護」を同時取得するので「神級」レベルという。普通の転生者のレベルと違って「格」が上、ひと味もふた味も違うってことだ。

これくらいの加護があれば、リンネの玉の光が消えることはあり得ないが、一応、神の加護によって、「神気吸収」「不壊」「超絶防御」「超絶回復」を僕の「玉」に付加させておくっていうから、例え魔物だらけ?の異世界でも生きていけるんだろうな? というか、既に上位の勝ち組なんじゃない?


姿は、金毛の猫、金猫なんてどうだい?っていうから、もう何でもいいよ、どうせ神様に逆らっても良いことないよね〜

それで、僕は、猫になって?何をすれば良いのかな?


転生神が言うには、これから転生される、剣と魔法の異世界、「オーブ世界」には、異世界召喚で転移させられてきた勇者候補たちがいるそうだけど、その中の一人、ミヤビという娘が、勇者不適格と判断されて、王立教会から、いくばくかの金を握らされて追放されてしまったらしい。しかし、転生神が言うには、このミヤビこそが、本来の勇者の力を手にすべき者(予定者)であり、まだ、顕在化していないだけ、という。

どうやら、僕は、そのミヤビという娘のところに転生させられるようだ。それで、その娘を助けながら、気ままにやれば?って言われる。更に、既に勇者認定されている者たちがいるので、ミヤビが、将来、勇者に目覚めても、勇者とは無関係で勇者の仕事をする必要も無く、僕の好きなようにやれば良いからね・・・ということらしい。


よくよく聞けば、ミヤビに勇者称号が顕在化しなかったのが、転生神の配下の失敗だったらしくて、その穴埋めにミヤビを陰ながら?援助する?そのために僕を利用したい!ってことだね!

まあ、良いけどね。実際に、ミヤビに会ってから僕が決めても良い、とも言われてるしね。



▶ 名前:リンネ 

* 種族:天界の玉(輪廻界から弾き出された「玉」)

* 転生:金毛猫(神獣)

* 転生神の加護(神級)

・・・◎神気吸収、◎転移、◎鑑定、◎収納、

・・・◎不壊、◎絶対防御、◎超絶回復、◎魔術、◎神術

* 転生神の加護の首輪(神器)

・・・ダイヤペンダント:◎攻撃無効、◎魔法無効、◎魔力変換


早速、転生神の加護を「鑑定」してみる。鑑定の使い方などは、膨大な天界に漂う知識の中にあったしね、問題無い。


*転生神の加護(神級)

・◎神気吸収 空中に散在する「神気・神力」の吸収効率強化、魔力を「神力」に変換して吸収できる

・魔素がある魔法世界では、魔法を、魔術あるいは神術として発動できる

・魔素の無い世界でも、神気があれば、神術として発動出来る



つまり、僕の基本活力は、神気・神力で、術は神術、ということ。魔法世界では、神術として魔法(魔術)を発動できること。どの世界にもある神気を身体に吸収、蓄積することはもちろん、魔法を分解して魔素・魔力を神気・神力に変換して吸収、蓄積することもできる、という、まあ「」能力をもっている、ということだ。




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