第25話 つぎ
ここでいう「つぎ」とは、「着物や布のやぶれを補い縫うこと。また、そのための布地」です。用例に「ズボンにつぎをあてる」とあり、「『継ぎ』と書くことが多い」と補足されています。(「国語辞典」)
「つぎ」が死語かといえば、そうとは言い切れません。
文学作品、TVドラマ、演劇などで見聞きすることは、今でも少なくはないからです。
今回、私が取り上げたのは、子供のころ実際につぎを当てた衣服を着たことがあり、そういうことは、現在ではほとんどないという観点からです。
母がつぎを当ててくれたのは、ズボンの膝小僧と、靴下のつま先が圧倒的に多かったように記憶しています。
つぎが当てられたズボンや服を着て学校に行っても、恥ずかしいということはまったくありませんでした。
つぎを当てるのは、ごく当たり前のことで、どの子もそうだったからです。
これは、「物を大切にしていた」と言えるし、他方、「今ほど物質的に豊かではなかった」とも言えます。
私の成長過程は、日本の高度成長期とほとんど被さっています。
電化製品をはじめ、様々な工業製品、住宅、社会インフラなどが、日々豊かになっていきました。公害など、負の側面ももちろんありましたが、多くの人が将来に対して明るい希望を抱いていたように思います。
日本が豊かになっていくうちに、いつの間にか、衣類につぎを当てることもなくなりました。
今さら、衣類はつぎを当ててでも長く使うべきだなどどとは言いませんが、ものを大事にする意識は大切にすべきだと思います。
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