第17話 ちんどん屋

「国語辞典」には、「人目を引く服装をし、楽器を鳴らしながら、宣伝・広告をする人。ひろめや。」とあります。

 説明は間違っていませんが、これだけで、あの独特の衣装や楽器の取り合わせ、味のあるパフォーマンスまでは伝わってきません。


 今の若い人にちんどん屋と言って、どれくらい伝わるのでしょうか?


 ちんどん屋の衣装や構成員には、地域や時代などによってバリエーションがあったことでしょう。


 私の記憶の中にあるのは、次のようなイメージです。


 先頭を行くのは、江戸時代の町人風のを被った和服姿の男性です。彼は、胸の前に小太鼓とかねを縦に組み合わせた楽器を抱えています。

 ウィキペディアによれば、これを「ちんどん太鼓」と呼ぶらしいです。小さめの和傘も付いています。

 彼は、太鼓と鉦を叩いて、チンドンという音を奏でます。


 その次を行くのは和装の女性で、小太鼓を体の前に吊るして打ち鳴らします。(この部分は記憶が曖昧です)


 三番目は、なぜか洋装の男性です。西洋音楽の楽士のような黒服を着て、クラリネットを吹きます。つまり、メロディはこの人が担当するわけです。


 他に、ビラ配りの人が加わっていたこともあったようです。


 彼らは商店の新装開店などのポスターを背中に吊るして、商店街などを練り歩きました。


 子供たちは、ちんどん屋が奏でる音楽に引き寄せられるようにして集まってきて、金魚の糞のように、ちんどん屋の後ろについて歩いたりしていました。


 現在、全国にちんどん屋さんがどれくらい残っているのか知りませんし、調べてもおりません。

 あの、どこかほのぼのとしたパフォーマンスがなくなってしまったとしたら、とても寂しい気がします。


 

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