告知 第一回公式イベント

 




 ログアウトした私は、とりあえず昼食を作る。

 例によって、お昼はそうめんで良いだろう。手早く作れて、そして涼しい。


 さくっと完成させ、食べ終えた私は部屋に戻る。パソコンを起動。

 時刻は……午前11時58分か。 完璧なタイミング。


 えーっと。インクリの公式ページ…………あ、あったあった。

 インフォメーションを開いておく。

 十二時になった。ページを更新……


「あっ、『第一回公式イベントのお知らせ』これだね」


 カーソルを合わせて、クリック。





 ◇◇◇◇◇◇◇◇


 2050.0806


 第一回イベント『あっちもこっちも敵だらけ!?生き残るのは誰だ!』開催のお知らせ


 こんにちは。開発スタッフの守口です。

 そろそろ正式サービス開始から一週間が経過致します。皆様楽しんで頂けていますでしょうか。


 私どもとしましても、個性溢れる皆様のプレイングに日々楽しませて頂いております。

 今後とも全力で運営を行って参りますので、よろしくお願い致します。



 さて、今回は第一回公式イベント開催のお知らせです。

 サービス開始2週間を目前とする八月十二日の日曜日に、『あっちもこっちも敵だらけ!?生き残るのは誰だ!』を開催する運びとなりました。


 詳細は追って発表致しますが、細かい参加制限は一切無しの、バトルロイヤル形式となります。

 ランダムに専用フィールドの何処かに飛ばされ、そこから全プレイヤーを敵としてどこまで生き残れるか……というゲームです。


 ゲーム内のモニターや、公式の配信チャンネルから放送する予定ですので、参加されない方も充分にお楽しみいただけると思っております。


 より一層盛り上げていけるよう奮起して参りますので、『Infinite Creation 』を今後ともよろしくお願い致します。



 Infinite Creation

 運営スタッフ 守口



 ◇◇◇◇◇◇◇◇



「おぉ~~ 」


 ふむふむ。公式イベントだってのはカナの予想通りか。

 バトルロイヤル形式…………なんだっけ。カナの配信で何度か聴いたことはある。……はず。

 最後の一人になるまで戦うとか、そんな感じだよね。


 んー対人系かぁ。そういうの全然やったことないし、自信ないな。

 あ、でも生き残れば良いって話だから。

 大人しくさえしておけば、けっこう良い線いけるかも!


 なんとなーくそんなことを考えていると、不意に携帯が鳴った。

 ん。カナからだね。


「はーい?」


『お、でたでた。公式見た?』


「見たよー。凄いね。ほんとにイベントだった」


『やろー? そんなもんよ。バトロワ形式なのも予想通りや』


「えっ、そうなの?」


『せやで。最初のイベントやし、いろんな意味で簡単かつ盛り上がりやすいものがいいんや。だから、闘技大会かバトロワになるのが主流やな』


「へぇー。なるほどねぇ」


『イベント詳細の方は見たん?』


「あ、まだだ。別途って言ってたけど、もう発表されてるの?」


『されとるよー』


 えーっと、さっきのページを確認……あ、ほんとだ。

 イベント情報の欄に、第一回イベントの詳細がある。


「えーっと……8月12日日曜日、午後19時から決着まで、か」


『そ。当然、参加はするやんね?』


「んー対人系って殆どやったことないし不安なんだよねぇ……まぁ、やれるだけはやってみようと思うよ。

 公認として、良い絵をとれるかは分かんないけどね!」


『はは。ユキなら普通にやっとるだけで大丈夫よ』


「そう? まぁ変に意識して堅くなるよりは良いよねー」


『そーいうこと』


 ゲーム開始と同時に、専用フィールドの完全ランダムな位置に転送。

 そして、出会ったプレイヤーを倒し続け、最後に立っていた者が優勝となるらしい。


 敵を倒した数も記録されるので、そっちを狙う人も多いだろう……とのこと。


『というかまぁ、私はただひたすらにキルだけ狙うつもりやけどな』


「物騒だ!」


『はっ。そりゃそうよ。日頃から魔王魔王呼んでくる輩を焼き尽くす絶好の機会。逃すわけにはいかんのや』


「なるほどねぇ。私も天罰振り撒いてみようかな? 

 あ、でもすぐにHP枯渇しそう」


『そこにも書いてあるけど、一応ポーションとか消耗アイテムは拾えるみたいやで。

 運次第では、あんがい長持ちするかもな』


「あ、ほんとだー書いてある。助かるなぁ。

 うえっ、レベル制限あるのか」


 見落としかけていたけど、改めて詳細を見返すと『レベル制限』という項目があった。

 これは参加条件という意味ではなく、最高レベルがここに揃えられてしまうということらしい。


 …………ん?


「あのー。私もう制限レベル超えちゃってるんだけど」


『マジか! そっかそう言えばもう30とか言ってたねぇ』


 そう、今回のイベント、最高レベルが30となっている。

 つまり、私はここからどれほどレベルをあげようとも、イベント時には30に揃えられてしまうということ。


「むーん。なんか虚しい」


『まーあんまりレベル差が開くと面白み薄れちゃうってのもあるからな。仕方ないんよ』


「それは分かってるけどさぁ」


『レベルだけじゃないっしょ? ユキだって、装備整えたりスキル高めたりと出来ることは沢山あるはずやで』


「それは確かに。装備もそのうち出来上がるって言ってくれてるし、しばらくはスキルで何か面白いことできないか探してみようかなー」


『街探索とかもええかもな。思わぬ発見があるかもしれん』


 町を適当に歩いた結果として、あのおばあちゃんにも会えた訳だしね!

 アジーンもドゥーバも、もうちょっと探索してみても良いかもしれない。


「そうだねー! 少しでも生き残れるようになりたいし……それになにより」


『出会ったら、負けたくない…………よな?』


「もちろん!」


『ふふ。楽しみにしとるわ』


 そんな会話を最後に、通話が切れた。


 そっか。バトルロイヤルってことは、カナも敵になっちゃうのか。

 積極的に倒しにまで行くつもりは無いけれど、出会ったら簡単にやられたくはないよね。

 いっそ倒しちゃうくらいの気持ちで行かないと。


 うん。ワクワクしてきた。色々と準備、頑張るぞー!







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