凄女によるゴブリン狩り
「と、言うわけでガンガンやってくよー」
『ノリノリである』
『「殺」ってく』
『笑う』
『これは凄女』
「こらそこ! 凄女ってコメント、ちゃんと見えてるんだからな!」
まったくもう。相変わらず失礼なんだから。
だがしかし、今日ばかりはちょっとくらい許してあげようじゃないか。
「♪~~」
『ひぃw』
『やばいw』
『鼻歌歌いながらビーム撒き散らすなw』
『道行くゴブリンが抹消されてるの面白すぎるんだが』
『もはや移動砲台』
『固定砲台だったユキちゃんはどこに』
『今や回転砲塔の移動砲台なんだよな』
「あ、見ない顔だねこんにちは。ふーんゴブリンメイジ? そんなのもいるんだ」
『話しかけながらビーム撃つなww』
『情報すら見られない新モンスター』
『敵が哀れになってきた』
『戦車かな????』
「……あ、体力減ってきてる。 ポーション……っと」
『[悲報]地獄[終わらない]』
『燃料追加ww』
『誰かこの子を止めてえ』
『結構奥きてるけど大丈夫かw』
「だいじょーぶだいじょーぶ。時間やばくなったら死に戻ればいいさ」
『ええ……』
『発想が末期すぎる』
『デスワープ前提』
『RTA走者かな???』
さあ、どんどん行くぞ!
◇◇◇◇◇◇◇◇
さてさて。結構良い時間になってきた。
ノーマルなゴブリンに始まり、ゴブリンファイター、ゴブリンメイジ。ゴブリンアーチャーなどなど、バラエティ溢れるゴブリンたち。
都合の良いことに完全にバラバラに動いているというわけではなく、数体単位で纏まってくれていた。
そのため1回の放射で纏めて群れごと焼き払うことが出来、非常に効率が良い。
ああ。聖魔砲のエフェクトについてだけども、正直なところGAMANのド派手なものに慣れていたから大して特筆すべきところもない。
500程度のチャージで、猪2匹くらい軽く呑み込める程の光線を放てる感じ。
ほんの10数秒チャージするだけでこの威力、本当に便利!
「……それにしても、いなくなっちゃったなぁ」
『狩りすぎなんだよw』
『百体は殺ったんじゃない?』
『バーサーカーすぎる』
『聖女 (バーサーカー) とは』
「今日ばっかりは否定出来ない……あ、百体は行ったよ。称号入ってた」
その名も、ゴブリンキラー。ゴブリン種に与えるダメージがふえる。
アンデットキラーと同じ類のものだね。
『百w』
『ほんの1時間程度なのにw』
『ゴブリン達から指名手配されてそう』
『周囲にいないの、警戒されたのでは?』
「えー。そこまで高度になるもの?
いや、私ゲームのことはあんまり詳しくないからわかんないけど」
『AI高度だからね』
『普通にありそう』
『あのキャッチコピーだしなおさら』
「んー。そう言われてみれば。
それじゃあ、もうちょっとだけ先進んでみたら引き返すことも視野に入れるかぁ」
『普通に帰る選択肢が生えてきた』
『バーサーカーモード終了?』
『↑聖女にそんなモードあっていいのかw 』
『↑凄女サマだから』
『↑あっ(察し)』
『↑察した』
「新スキルもたくさん使って満足したしねぇ。
凄女呼びを早くも気にしなくなってきている私が居て辛いよ」
『草なんだが』
『自業自得w』
『楽しそうだったw』
『それはわかる』
「楽しかったよー。なんと言っても初の能動的な攻撃スキルだったし!
アンデット限定なら[浄化]があったけど、ほんとそれしかなかったもん」
『毎回殴られに行ってたもんね』
『もう斬られる必要ないのか』
『ワイは好きだったけどなぁ』
『わかる』
『↑わかるww』
『ドM返上?』
『ずっと思ってたんだけど、アンデッド だよ』
「ドM返上はどうだろう……何だかんだでGAMANも多用するとおも…………って、そもそもドMじゃないし!
アンデッド…………? あーー!! そっか! 『t』じゃなくて『d』だもんね。 これは恥ずかしい……」
『ドM否定は無理がある』
『凄女以上に計画的だったのでは??』
『HPで受ける前提ビルドだもんなぁw』
『指摘ニキちっすちっす』
『どっちでもいいんじゃない?発音なんて』
『ユキちゃん英語よわよわ? 意外』
「あの私が潜在的なマゾっ子みたいな扱いやめてもらえません? ノーマルだ。わたしは!!
いやーなんというか。言い訳なんだけど、初見の見間違えとか覚え間違いってさ。 指摘されるまでずっと違和感すら覚えないってことない……? 漢字の読みとか特に」
『潜在じゃないw』
『顕在してるんだよなぁ』
『草』
『あーわかる』
『一旦勘違いすると一生続くやつ』
『似たやつだと、野球の死球とか』
『デッ「ド」ボールねw』
『トって言っちゃうやつ』
「野球かー。昔、お父さんやお兄ちゃんとよく観てたから何となくわかるかも」
『お?』
『いいね』
『最近は?』
『何処推し?』
『落ち着けw』
『野球民、落ち着いて』
『ユキにお兄ちゃんって呼ばれたい』
『俺がお兄ちゃんだ』
『俺だ』
『↑お前らはもっと落ち着け』
「どこ推しかはナイショだよー。収拾つかなくなりそうだし。
あとそこの自称お兄様たちは帰って。 ヘンタイ」
『たしかにw』
『仁義なき争いが……』
『ぐはっ』
『ありがとうございます』
『ありがとうございます』
『ありがとうございます』
『ゾクッとした』
「ひっ。こ、怖いんですけど」
こ、これがあれですか。我々の業界では……ってやつ。
『こーいうのは何言っても喜ぶから、程々にスルーするのが一番』……だったかな。
「いやーもう。沢山寄ってくるゴブリンたちと言い、モテモテで困っちゃうね」
『草』
『自称お兄さん、ゴブリンと同じに扱われるの巻』
『(´;ω;`)』
『……いや、アリでは』
『末期で草』
『そもそもゴブリンって寄ってきていた訳じゃない気がするんだが』
『近寄って行ったのユキなんだよなぁ』
『凄女様こわい』
「こわくないよー。ほら、武器すら持っていない聖女だよ?」
カメラに向かって両手を広げる。
そう、なんと言っても私は丸腰なのだ。
武器も盾も持たない、鎧も着ていない一般少女。それこそが、わたし。
『いや、無理があるw』
『なお体力無限にある模様』
『頑張って削っても天罰が来る模様』
『なんなら笑みを浮かべながら極太ビーム撃ってくる模様』
『理不尽すぎんか????』
『もうユキラスボスで良くない?』
『ずっと仲間だったのに最後の最後で敵に回るやつ』
『ありそうで草ですわ』
「勝手に私の存在を壮大にしないでもらえるかなー?
ラスボス扱いした人はもれなく天罰…………ん?」
『ひぃ』
『許して』
『逃げろ!ラスボスに焼かれるぞ!』
『総員散開ッッ』
『お?』
『どしたん』
「あ、えーと、ほら、あれ見てよ」
前方を指さす。
カメラくんもわかったもので、カメラワークを私の視界に近いものにしてくれた。
指の先には、見たことのない建造物。
少し近づいてみると、それが紛れもなく砦の類であることが分かってきた。
「……え。砦?」
『砦だ』
『砦だね』
『簡易っぽいけど普通に硬いやつやん』
『でもちょっと小さめじゃない?』
『なんか察したんだが』
「うーん。言われてみれば。人が使うには小さいね」
一番わかりやすいのは城門かな。
よく見れば、明らかに人間サイズじゃないことがわかる。
あれ? よく見たら、砦からちょっと離れたところに小さな石碑があるね。
周囲に広がっている見覚えのあるサークル……これ、安全地帯か。ログアウト出来るやつ。
もう数歩、試しに砦に近寄ってみる。
すると、ガンガンガンと硬いものを打ち鳴らすような音が響き渡って。
城壁の上に、弓を構えたゴブリンたちが一斉に姿を現した。
……なるほど、つまりだ。
最後にもう一暴れしていけってことですね?
『EXクエスト[ゴブリンの前線基地]を開始します』
◇◇◇◇◇◇◇◇
EXクエスト ゴブリンの前線基地
EXクエスト ゴブリンの動向 より派生
偵察依頼を受け、砦を発見した時点で派生前クエストは達成となり、同時に当クエストが発行される。
◇◇◇◇◇◇◇◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます