『忘年会』

やましん(テンパー)

『忘年会』


 ある日、目が覚めると、枕元に往復葉書より、ふた回りほど小さな、でも、『ごき郵便』と書かれ、往信と返信にわかれたミニ往復ハガキが置かれていました。


 それには、こう印刷されていたのです。


       ✴️

 

 やましん 殿


 ひごろ、何かとお世話になりまして、まことに、ありがとうございまごき。


 このたび、下記のごとく、本年の忘年会を開催いたしますゆえ、ぜひ、ご参加の栄誉によくしたくおもい、ご案内、もうごきします。


 かならず、ご参加くだごき。


 なお、本状をもって、ご招待状といたしまごき。


 なお、参加者数の確認のため、返信ハガキにご記入いただきまして、12月10日までに、ねこママの店にお届けください。ごきごき。


       記


 日 時  人類歴 2022年12月15日


    午後7時より


 場所   ねこママの店 大ホール


               以上


 

         ごき連隊忘年会幹事


            ごき新八郎 拝


        🌠


 『今年もきたか』


 やましんは、つぶやきました。


 『あれは、壮大な悪夢だからな。』


 あの、狭い、ねこママの店に、床も壁も天井も机も椅子もカウンターも、大小、いちまんごきは、いるに違いないという、大パーティーでありますが、あまり、居心地はよくないので、最初にちょっと出た以外は、寸志を差し入れることで、済ませてきました。


 なので、今回も、『ご欠席』に、丸して、ごを消して、『いたします』。と、追記し、やましんは、そそくさと、地下のねこママの店に、もって行きました。


 今日は、12月8日です。


 すると、ねこママは、鉢巻きして、走り回っておりました。


 店内の模様替えのようです。


 アルバイトさんの、のらにゃんが、ににゃんこ、入っていました。


 さらに、なんと、カージンゴと、はとさぶろが働いていました。


 『やあ、はとさぶろくん。久しぶり。』


 『ああ、やましんさん。ごくろさま。ぽ。返信ですか。』


 『うん。ママ、はい、はがき。』


 『ダンケ・シェーン。あら、欠席? 大将が寂しがるにゃんこ。』


 『体調、悪いから。』


 『やましん用の、シェルターつくろうかと、思ってたのに。』


 『そら、ども。でも、まあ、お互い、安心安全のためさ。』


 『政府みたいにゃん。』


 『ああ、差し入れは、当日持ってくるよ。だから、冷蔵庫、漁らないで。 』


 『にゃん、キートス。』


 『やましんさん、正解ぽ。おいらも、本番は出ないぽ。』


 『おれっちも、かあ〰️〰️。』


 『ふんふん。あら、まま、あれ、なに?』


 なにやら、自転車競技の鐘みたいなのがあるのです。


 『除夜の鐘の準備にゃんか。』


 『ふうん。たしかに、年末だねえ。』


 『うん。やましん、おせちの注文は、今年もなし、にゃ?』


 『まあ、お安いのを、大晦日にスーパーで、買うよ。』


 『まあ、それも、風流だにゃんこ。』


 『まね。』


 『しかし、ややこしい、年末だにゃん。ミサイルのプレゼントは、いらないにゃ。』


 『うん。オカルトみたいだ。インフルくんと、ころなさんも、歳末共同作戦をするのではないかと、もっぱらの噂だし。』


 『来年は、良くなって、しっかり、儲かりたいにゃん。』


 『そだ。やましんにも、ちょっとは、光をください。』


 『やましんさん、30日あたりに、内輪の忘年会やらない、ぽ?』


 『うん。ま、考えとく。』

 

 『おれっちも、考慮するかあ〰️〰️。』


 『うちは、空けとくよ。』


 『まあ。まだ、年末までは、時間がある。また、来るさ。』


 やましんは、地上に帰って行きました。



       🎄🎅🎁✨

 


 


 



 


 

 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『忘年会』 やましん(テンパー) @yamashin-2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る