第12話 魔剣士

「つまんねえやつ」


ジルはそういってその場から離れようとします。


「授業は?」


白銀の問いにジルの友人ジャキが答えます。


「すまないな。今日はサボりだわ」


そういってジルとジャキ、それに続くようベルという女の子も離れていきました。


「さて測定器壊れたね」


「すみません」


「気にしなくていい」


白銀は笑いました。


「君は魔力のコントロールが下手だね。

今のままでは魔道師になるのは難しいぞ!」


白銀の言葉に丹歌の表情が曇ります。


「すみません」


「魔法を使わない勇者も過去にはいたが......

魔力を使わないヤツではなかった。

特殊な武器に魔力を注ぎ敵を倒す。

そんな戦い方で悪しき魔王を倒した」


「はい、伝説勇者瑞希みずきさんの事ですよね?」


「そうだ。

彼女は勇者、でも君は魔道を極めたいんだろう?」


「はい」


「正直、僕は君に魔道はおすすめできない。

君は魔力はそこそこあり隠すのもうまい。

君は魔剣士を目指すべきだ」


「でも、僕は剣なんて持ったことありません」


「その辺は気合いで頑張れ!」


丹歌の心に不安がよぎりまふ。

すると、いつもの声が聞こえました。


「お前はなにもできない」


丹歌は反発はしません、これが幻聴だとわかるから。

だからなにも返さないのです。


「気合い……」


丹歌の顔が渋ります。


「丹歌くんはクラブ活動はどこにするのな決めたのかい?」


「 まだです」


「歩法部なんかどうだい?」


「歩法?」


「足を器用に使い間合いを開けたり詰めたりする技さ。

剣士になるにしても魔道師になるにしても必ず役に立つよ」


「考えておきます」


丹歌はそういって苦笑いを浮かべました。


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