第5話 目標

 ――鍋猫宿屋



「……丹歌!」


玉藻が嬉しそうに丹歌に飛びつきました。


「な、なに?」


「私決めたぞ!」


「うん?」


「私、清空さんのような立派な魔導師になる!」


玉藻がキラキラの目が輝かせて言います。


「そっか」


「丹歌も目指さないか?私と一緒に!」


「……うん!」


「本当か!約束だぞ!」


「うん」


丹歌は魔法が下手でした。

それが原因で丹歌は親に捨てられたと思っています。


「あらら、玉藻と丹歌ちゃん、すっかり仲良しね!」


そういったのは玉藻の親の水菜です。


「仲良しになった!

みんな、私のしっぽを馬鹿にするのだが丹歌は馬鹿にしない!」


「しっぽ?」


「うん、私も早く母上のように立派な9本の尻尾が欲しい!」


「焦らなくても貴方なら立派な妖狐になれるわよ」


「えへへへ!」


玉藻は嬉しそうに笑います。


「丹歌!これ持ってきたよ!」


シエラが、そういって大きな煎餅を持ってきました。


「お煎餅?」


丹歌が首を傾げます。


「うん!3人で食べるようにって先生から!」


「よかったな丹歌!」


玉藻が嬉しそうに笑います。


「和国のお煎餅は美味しいのよ」


水菜がそういって暖かいお茶を湯呑に入れました。


「じゃ、せーので食べよう!」


シエラがそう言うと玉藻と声を合わせ「せーの」といって3人は煎餅を口に頬張り言いました。


「おいしい!」


今日は暖かく。

今日は優しい。

そんな雨が降る1日でした。

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