第47話 新人が6人増えました
「おはようございます。アトム様。」
「おはよう、シャナ。そうだ、昨日はアトム様と呼べって言ったけど冗談だからね。」
「え? そうなの?」
「初対面なのに生意気だったからちょっと意地悪しただけ。」
「もう!」
「父さんも俺も奴隷制度は良くないと考えてるんだ。だから、うちにいる奴隷たちは皆解放して従業員として雇っているんだよ。ちゃんとお給料も出してるし、昨日来た子たちも見習い期間が終わったら解放するつもりだから。」
「そうなの? 奴隷にとっては好待遇じゃないの。ちなみに私は開放してくれるのかしら?」
「そもそも奴隷契約をしてないじゃないか。」
「そう言えばそうね。良いの? 私が逃げるとは思わないの?」
「ここを出て行ったら野垂れ死にするよ? それに、この家と俺の料理を捨てられるかな?」
「確かに。温泉最高、衣食住の保証あり、さらに給料までもらえるとなれば他で働く気にはならないわね。私も永久就職しようかしら?」
「そうなったら第4夫人だがね。その前にエミリンとカリンと仲良くなることだ。獣人に偏見は無いか?」
「父さんと母さんはひどかったけど、私には無いわ。モフモフした尻尾が可愛いわ。あれ? もう一人居なかった? ソフィアからは第5夫人って言われたんだけど。」
もう一人って誰だ?
『おそらく、ジャスミンのことでしょう。』
え? 従妹だろ。
『この世界では親子、兄弟以外ならOK。重婚もOKですからね。』
なんかいつの間にかにハーレム野郎になってしまったな。
俺の意見は無視して女性メンバーで決められてしまっているのだが。
みんな朝ご飯の時間だからそろそろ集まってくるだろう。
「おはよう、ソフィア。」
「おはようございます、アトム様。それにシャナ。お布団最高だったでしょ?」
「そうね。前の布団も高価なはずなのに比べ物にならなかったわ。雲の中で眠ったみたいだったわ。」
念話でエミリンとカリンも呼んだ。
「アトム、何? お姉ちゃんは忙しいのよ。新しい甘いものが出来たのなら別だけど。」
カリンは何も言わず、すっと俺の隣に来た。
「紹介しようと思ってね。ソフィアの幼馴染のシャナだ。仲良くするんだぞ。」
エミリンは興味なさげに「よろしく。」と言って、カリンは会釈をした。
「初めまして、シャナです。よろしくお願いします。」
今日はお淑やかだな。
なんか緊張してるみたい。
「じゃあ、朝ご飯にするか。エミリンとカリンも一緒に食べて行くだろ?」
いつものクロワッサンとバターロールを出した。
それに先日エルフの里から拝借した苺で作ったジャムも出した。
あとはポタージュスープとベーコンエッグ、生野菜のサラダだ。
「おいしいわ。この家の料理は王城の料理よりもおいしいわね。」
その王城の料理も弟子であるゴンザレスさんによって革命をおこしているんだけどね。
まだ2食しか食べていないのにもう虜になってしまったようだね、シャナさん。
「そうだ。カリンに昨日来た子たちを紹介する。」
「今日はあちらの家でのお仕事は無いので、ずっとお側に居られますよ。」
「そうか。じゃあ、久しぶりに甘やかされちゃおうかな。」
「アトム、キモいよ。」
黙れ、愚姉!
食後の紅茶をカリンに入れてもらって一息つき、アリサを呼んだ。
「アリサ、昨日来た子たちを連れてきてくれ。昨日はちゃんと話ができなかったから。」
「了解しました、ご主人様。」
こっちの家の従業員たちをアリサが仕切ってくれている。頼りになる。
アリサは、隙あらば夜這いに来ようとすることを除いたら優秀なのだ。
既成事実を作ろうとしないでくれ。
リリィ 21歳 ヒューマン 治療師
ソニー 19歳 犬獣人 探偵
イライザ 17歳 ヒューマン 水魔導師
マコ 15歳 豚獣人 農民
エリナ 13歳 狼獣人 メイド
ポポロ 11歳 ヒューマン 魔道具作製師 元子爵令嬢
「まず、ポポロとエリナはカリンに着いてマリーと一緒にメイド見習いになるように。他の4人はアリサに任せるから仕事を与えてくれ。」
マリーにお友達が必要だろうと歳の近い子を一緒にした。
カリンにマリーには甘すぎると怒られるんだが、可愛いから仕方ない。
ちなみにポポロはシャナと同じで、親がエルフ狩りに関わってしまい奴隷落ちした子だ。
母親が、幼い娘が奴隷落ちするのは不憫と考え、買い手がつかないように顔に深いキズを作ったのだ。
綺麗に治って良かった。
「アトムお兄ちゃん。マリーはもう一人前のメイドさんよ。見習いじゃないんだからね。」
「わかったわかった。マリーは偉いね。新人のエリナとポポロにお仕事を教えて上げてね。仲良くするんだよ。」
「アトム様。マリーを甘やかさないでください。」
「仕方ないじゃないか。ねぇ、マリー。」
「アトムお兄ちゃん大好き!」
「カリンさんや。マリーを養女にしてはダメかね。」
「先に結婚じゃないですか? いつまで婚約者を待たせているのですか? というか、何人増やすのですか?」
「今日のカリンは厳しい件。カリンは俺を甘やかしてくれ。」
「仕方ない。お姉ちゃんが膝枕をしてあげる。」
「結構です!」
エミリンが本気で落ち込んだ。
後で甘いものを上げよう。
癒しのカリンは俺を甘やかしてくれず、新人教育に行ってしまった。
アリサも4人を連れて出て行った。
ソフィアとシャナも事務仕事に。
そして、残された俺とエミリン。
「甘いの食べる?」
「うん! もちろん。」
君は変わらないねぇ。
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